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美容師はスマホ越しでも「髪の毛の色」を識別できる

 もちろん、SNS上の全ての美容師が嘘をついているわけではありません。ですが経験ある美容師であれば、「ブリーチあり」「ブリーチなし」の写真は明確に見分けることができますし、「ブリーチなしではできないヘアカラー」のボーダーラインも知っています。ですが、それはお客様側にはなかなか識別できません。そのため、「ブリーチなしでできる」写真を魅力的に感じて、美容室に持ってくるお客様が後を絶たないのです。

 さらにこの事例が厄介なのは、「できると書いてあるのにできないのは、この美容師さんがヘタだからじゃない?」と捉えられてしまうことです。そして、こちらが「できない」と否定すれば、期待してご来店した気持ちを裏切ってしまい、満足度は低くなってしまう。

 そのため美容師からすれば、損するばかりで、いいことなしなのです。

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©AFLO

(2)ヘナカラーは賛否両論!?

 美容師が長年に渡って苦労しているのが、お客様からの「ヘナカラーをしたけど、色が好みじゃないから、別の色味にしたい」というオーダーです。

「ヘナカラー」は、植物由来の染料を使ったカラー剤です。化学成分を含まないため自然派志向の方に好まれています。多くの美容室で用いられていますし、白髪染めのセルフカラーで用いる方も多いです。

 一方で、美容師にとって「ヘナ」は賛否両論の薬剤でもあります。

 一番の懸念点は、「ヘナで染まったオレンジ色を抜くことが困難」なことです。

「ヘナ」という染料は「ヘナタトゥー」にも用いられますが、オレンジ色に染まるのが特徴です。このヘナのデメリットは、「オレンジの色素」が髪に強力に残留することで、ヘナによって染色したオレンジ色は、脱色するのが極めて困難なことです。

 ヘナで白髪染めをした履歴がある髪は、強い脱色力を誇るブリーチ剤を用いても、抜けることがありません。ブリーチをしても、過度に発色の強いオレンジの髪に留まってしまいます。ブリーチを何回も繰り返すことでオレンジ色を脱色することは可能ですが、その前に髪の毛が傷んでダメになってしまいます。