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ウェディングドレスは「女性の不自由さを暗示してるとしか思えない…」フェミニストの作家が結婚式をやってみた感想は

山内マリコ『結婚とわたし』より#3

2024/05/24

genre : ライフ, 社会

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 事の起こりは〈桐島ローランドさんの会社の3Dフィギュア クオリティ高過ぎ‼〉というネットのまとめ記事。写真には、本物かと見まごうようなお相撲さんの3Dフィギュアが! それを見たわたしは、「結婚式の記念写真の代わりに3Dフィギュアを作りたい」と口走るようになりました。

 ややあって某ホテルにたまたま取材に行ったとき、流れでフォトウエディングの相談なんかをして、あれよあれよという間にプランニングが詰められていきました。せっかく正装するなら親きょうだいくらいには見てもらうのがいいんじゃないかと、食事会をすることになり、せっかくみんなが集まるならと、集合写真を撮ることになり、結果的に「これはもう普通に結婚式だよね?」という形式に着地。唯一違うのは、新郎新婦が途中で会場を中抜けして、3Dフィギュアの撮影に向かうこと。どうなることやら。  

〈実はこのときちょうど『あのこは貴族』を「小説すばる」で連載中。東京の富裕層の取材をしに、都内の高級ホテル御三家によく行ってました。結婚式や結納の取材をするなか、「こりゃ実際にやった方が手っ取り早いな」と思いはじめ、ならばとホテルオークラの建て替え前に滑り込んだのでした〉

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©GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

ウエディングドレスという名の拘束衣

 ウエディング3Dフィギュアを作るため、計画は着々と進行中。先日はウエディングドレスの試着に行ってきました。本番では式はなく、結婚写真と3Dフィギュアの撮影、それから親族のみで会食するだけなので、ドレス選びもおのずと写真写り重視に。3Dフィギュアにしたときにディテールが作りやすそうな、ベアトップ型でAラインのドレスを選びました。

 試着室に入り、ドレス専用のブラジャーとウエストニッパー(腹回りをガチッと補正するインナー)を装着、パニエでボリュームアップしたドレスを床に置いてかぱっと開き、上からイン! 和装と違って気楽なイメージがあった洋装ですが、けっこうガチガチに締め上げるのに驚きました。映画『風と共に去りぬ』でヴィヴィアン・リーが、コルセットをつけるときメイドに締め上げられるシーンが有名ですが、あれに限りなく近いことをされ、背中のホックが留められます。ときたま映画やドラマの中で、ウエディングドレス姿のまま結婚式から走って逃げ出す花嫁が登場するけれど、不可能では? と思うくらいキツい。

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