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「食べるものは、ブタのために集めた残飯でした」極貧の少女時代→18歳でお見合い結婚→高級クラブを経て…マダム信子(72)が語った“人生の大逆転”

マダム信子インタビュー #1

2024/04/06
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19歳の年の差婚、意外な馴れ初め

――そして、そのお店で出会うのが、後に夫となる19歳年下の幸治さんです。

信子 幸治君に会っていなかったら、そのままママとして有終の美を飾っていた可能性が高いと思う。少なくともお菓子を作るとか、飲食業界に関与するということはなかった。 

©文藝春秋

――銀座にお店をオープンして、どれぐらいのタイミングで幸治さんが現れたんですか?

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信子 オープンして3年目くらいだったかな。「すごい男前が面接に来たから、ママ、見てごらん」って言われて。その頃、私はホストクラブに通っていたから、「男前はもう結構」みたいな感じやった。それでも見た方がいいってあまりにしつこいから見にいったら、あらまあ、男前(笑)。

 話を聞くと、島根県出身で関西に引っ越してきた――私と共通点が多かった。なんだか糸を引っ張られているような感じがして。でも、この世界には向いてないと思った。1万円を渡して、「これで帰りなさい」と伝えたら、なんと! 翌日、領収書とお釣りを律儀に持ってきたんです。

夫・川村幸治さんと ©文藝春秋

突然姿を消して…

――10円単位のお釣りまで持ってきて。

信子 そう。 彼は、モデルを夢見て上京したんやけど、こんな優しい子が、競争社会のタレント業界で生きていけるわけないと思った。だから、金庫番として働くのであれば、うちのお店で雇えるかなと思ったんです。ほんとに真面目な人でね。

 あるとき、彼にヴェルサーチェのブレザーを買って渡したんです。ポーターをやるにしても寒いだろうし、オーディションでの印象も変わると思って。そしたら、ある日突然、 「一身上の都合により辞めます」っていなくなった。いなくなることは別にかまへんけど、あろうことかその超高級ブレザーをお店に置いていなくなった。普通やったら持って逃げると思えへん? そんな人いない(笑)。実際、残ったブレザーをめぐって、他の男性スタッフが取り合いになったんだから。