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夫婦円満の秘訣は?

――山あり谷あり……説得力が違います。

信子 ただ、私がいつも付けているネックレスは、洗面所にそのまま置いてあった。その隣には指輪もあったんだけど、どういうわけかそのまま。これだけは、今も謎のまま。まぁ~落ち込みましたよ。落ち込んだけど、普段はがめついお母さんが、「悪をその人が持っていってくれたんやと思え。これからまた良うなるから」って。人間、生きていたらいろいろあります。私自身、反省することもたくさんあります。

©文藝春秋

――その傍らには幸治さんがいらっしゃるので心強いですね。

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信子 ほんまにそうです。私のことなんかいいから、幸治君を取材してほしいわ。

――お二人は19歳の年齢差があります。円満の秘訣は何でしょうか?

信子 一人の男性として、立ててあげるところは立てることが大事やと思います。私たちは、もともと恋愛感情で始まった関係性ではないことも大きいかもしれへん。男女ではなく、人として見るようにしていたからね。夫であり、パートナーであり、ゴルフ仲間であり、タクシーのお釣りを返しに来たときの幸治君であり、いろいろな関係値がある。空気みたいなもんやし、電池みたいなもんでもある。

 年の差があるってことは、通ってきた時代が違うってこと。好きな音楽や映画も違うと思います。でも、カラオケに行ったらお互いの世代の曲で盛り上がれる。自分が知らんものを知ることができる。年の差があると、人生が倍になった気がする。それを楽しむこと。あと、夫婦って食べ物をきちんとしていたら帰ってくるんですよ。だから、私は美味しい食べ物を作るようにしています。

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「80歳になったら老人ホームに」

――手料理ですか?

信子 そう。幸治君の好きなものは絶対に作るようにしています。私たちはどん底まで落ちたけど、ずっと仲良くやってこれた。お互いに信頼があるからこそ絆ができたんやと思います。「80歳になったら老人ホームに入るけど、あんたはまだ60過ぎ。いい人見つけて一緒になっていいで」と伝えたら、「僕も一緒に行く」って言われました(笑)。幸治君が還暦を迎えて、私が80歳を越える。それを一緒にお祝いをするのが私たちの夢です。

「逃げない、捨てない、諦めない」。長い間、ずっとこの気持ちでやってきましたけど、最近は「(A)明るく、(T)楽しく、(M)前向きに」を口癖のように言っています。ATMです。お金より大切なものは、「明るく、楽しく、前向きに」ならんと出てこない。ほんと、そう思います。

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