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〈初恋の人とNYで24年ぶりの“再会”〉王道のラブストーリーに見えて “今”と対峙させる『パスト ライブス/再会』の深さ

2024/04/06

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画

note

 ニューヨークの風景を撮りつづけたフォトグラファー、ソール・ライターの影響を明らかに感じさせるその一コマ一コマは、決定的な瞬間ではなく、日常の見過ごされた美しさを提示する。

 ニューヨークを拠点に活動するロックバンド、グリズリー・ベアのメンバーであるクリストファー・ベアとダニエル・ロッセンが手がけた音楽も同様だ。

 ピアノやギターやマリンバの生音と、シンセサイザーの深い残響音が優しく調和した劇伴は、都市生活のなにげない情景をどこか夢心地な、まばゆい光のうちに包み込む。

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ニューヨーク最後の夜、ノラの夫アーサーを交えた3人でバーで語らう Copyright 2022 © Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved

 そして抑えていた感情が静かに、一気にほとばしるエンディングの“2分間”。それは、息を呑むほど美しい。

 現実はときに無残だ。初恋のふたりが運命的な再会をしても、その恋が成就するとは限らない。それでもこの映画は、かつて思い描いた未来を手にできなかった、いまこの現実を肯定する。なぜなら私たちの人生は、前世に思いを馳せ、来世を夢想したとしても、到底そこには存在しえないのだから。

 

STORY
ソウルに暮らす12歳のノラとヘソンは、互いに恋心を抱きながら、ノラの海外移住により離ればなれになる。それから12年後、オンラインで再会し、24年後にようやくニューヨークで対面を果たすふたり。アーサーと結婚し、幸せな生活を送っているノラと、数日間の休暇を異国の地で過ごすヘソンは、最後にどんな運命を選択するのか?

STAFF & CAST
監督・脚本:セリーヌ・ソン/出演:グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ/2023年/アメリカ・韓国/106分/配給:ハピネットファントム・スタジオ/4月5日公開

〈初恋の人とNYで24年ぶりの“再会”〉王道のラブストーリーに見えて “今”と対峙させる『パスト ライブス/再会』の深さ

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