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〈初恋の人とNYで24年ぶりの“再会”〉王道のラブストーリーに見えて “今”と対峙させる『パスト ライブス/再会』の深さ

2024/04/06

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画

note

 海外メディアが選ぶ2023年のベストムービーに多数選出され、最高のラブストーリーと絶賛された『パスト ライブス/再会』。24年後に再会する初恋のふたりを描いた、一見するとロマンティックなこの映画が、本当に映しだしたかったものとは――。

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 初恋のふたりが24年後に異国の地で再会を果たす。

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『パスト ライブス/再会』は、そんなロマンティックな設定を土台にしているが、決してロマンティックなラブストーリーではない。

監督自身の実体験を基に映画化

 運命の相手、幸福な結末…多くのラブストーリーがそれらを得るまでの過程を描きだす。

 でもこの映画は“なにを得たか”よりも“なにを得られなかったか”に焦点を当てる。

 なぜならそのむなしさやままならなさこそ、人生の真実だからだ。

24年ぶりに直接会ったノラことナヨン(左、グレタ・リー)とヘソン(右、ユ・テオ) Copyright 2022 © Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved

 一見ロマンティックでありながら、実はリアリスティック。

 そして禁欲的に物語を進めつつ、遂には奔流のようにあふれ出すエモーション。

 本作で長編デビューした韓国系カナダ人監督、セリーヌ・ソンは自身の実体験をもとに、その卓越したストーリーテリングで観る人の感情を激しくかき乱す。

12歳で別離、24歳での“再会”はオンライン

 舞台となるのは24年前、12年前、そして現在という3つの時代だ。

 物語は冒頭でニューヨークのバー・カウンターに語らう3人の男女を映しだし、その関係を過去にさかのぼって、紐解くように展開する。

 ――24年前。

 ソウルに暮らす12歳のナヨンは、母から学校で誰が好きかと聞かれ、同級生のヘソンの名前を挙げる。「たぶん彼と結婚する」といって。