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宮藤官九郎の最新作が話題『不適切にもほどがある!』の適切な楽しみ方

「顧客リストで有名人の名前を探したり、ホントにダメ社員だった」阿部サダヲ(53)の“不適切すぎた”会社員生活

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「娘がチョメチョメしちゃうから!」

 不良女子高生の娘・純子(河合優実)の“安否”に焦る昭和のオヤジ。演じるのは、自身も2児の父である阿部サダヲ(53)だ。

「地獄のオガワ」ならこの特集も許してくれるカナ(『不適切』HPより)

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高校球児として本気でプロを目指していたが、夢半ばで挫折

 阿部にとって『不適切』は、大河『いだてん』などに続く盟友・宮藤官九郎(53)とのタッグ。演劇関係者が語る。

「阿部もクドカンも、松尾スズキ主宰の劇団『大人計画』の所属。それにしても、阿部がこんなに脚光を浴びる日が来るなんて……」

クドカンと阿部は同い年

 1970年、千葉県松戸市で生まれた阿部。「怒られた記憶がない」と公言するほど、両親は優しかったという。幼少期から夢中になっていたのが、野球だ。

「『不適切』の舞台でもある86年頃は、高校球児として本気でプロを目指していたそうですが、同じ千葉県で同学年の石毛博史(元巨人)を見て夢を諦めました」(同前)

偶然観た大人計画の舞台に触発され、役者の道へ

 本人も〈人生で一番大きな挫折〉(「婦人公論」2016年5月10日号)と回顧している。結局、卒業後は担任に勧められた家電量販店に就職。秋葉原で働き始めるが、全くやる気がなかった。阿部は当時のことを周囲にこう明かしている。

「ノルマを達成したこともないし、顧客リストで有名人の名前を探したり、ホントにダメ社員だった」

 こりゃ、不適切にもほどがある?! 実際、銀行員役を演じた主演作の舞台挨拶でも「倉庫のおじさんとずっと喋っていたら、呼び出され『辞表を書け』と。1年でクビになった」と語っていた。その後は職を転々。〈役者をやる前がいちばん病んでいた〉(「ESSE」15年6月号)というが、

「22歳だった92年、偶然観た大人計画の舞台に触発され、オーディションを受けた。軍服に白の短髪というド派手な姿で現れ、松尾を驚かせましたが、見事に合格。野球で鍛えた身体能力と鋭い勘で、演出指示もすぐ理解したそうです。青白かったので、松尾は当初『死体写真』と芸名を付けたものの、放送禁止用語に当たるため断念。恋人の局部を切り取る阿部定事件から、現在の芸名となりました」(別の演劇関係者)