日本で描くとしたら…思い浮かんだあの人
父親をヒーローとする子供にとって不可侵の父親像──。ボクが日本で描くとしたら、4人の息子に自分が本来なりたかった職業を託した故・石原慎太郎を思い浮かべる。長男は政治家、次男は俳優、三男は銀行家、四男は画家。かの芥川賞作家は、自分が抱いた理想を子供に強いてはいなかっただろうか?
昔から「事実は小説より奇なり」と言うが、「事実は映画より奇なり」と言うべき現代の家族の悲劇を描いた本作は、「呪い」という名の都市伝説として流布されていくのではなく、後世に語り継ぐべき普遍的な物語として映画史に刻まれたのだ。
『アイアンクロー』
INTRODUCTION
気鋭のスタジオA24と『マーサ、あるいはマーシー・メイ』の鬼才ショーン・ダーキン監督がタッグを組み、「呪われた一族」と呼ばれたフォン・エリック・ファミリーの悲劇と知られざる真相を映画化。プロレスファンに広く知られる実話を家族の愛情と葛藤のドラマとして再構築してプロレスにまつわる栄光と挫折を掘り下げ、植え付けられた価値観からの解放という今日的なテーマに踏み込んだ、胸の奥深くに刺さる人間ドラマに仕上げた。
STORY
必殺技・アイアンクローで一世を風靡したプロレスラーのフリッツ・フォン・エリック(ホルト・マッキャラニー)は、自らの夢を息子たちに託すべく、厳格な指導のもと次男のケビン(ザック・エフロン)を筆頭にしたレスリング界最強のファミリーを作り上げようとしていた。だが、プロデビューした兄弟たちは病死や自殺で次々と世を去り、生き残ったのはケビンだけになっていた。それでもなお悲しみを拒絶し、強さを誇示しようとする父フリッツを目の当たりにして、ケビンはついに人生最大の決意をする。
STAFF & CAST
監督・脚本:ショーン・ダーキン/出演:ザック・エフロン、ジェレミー・アレン・ホワイト、ハリス・ディキンソン、モーラ・ティアニー、スタンリー・シモンズ、ホルト・マッキャラニー、リリー・ジェームズ/2023年/アメリカ/132分/配給:キノフィルムズ/4月5日公開