あめくみちこさん

「たいこどんどん」は、故・井上ひさしさんが1975年に書いた戯曲だ。日本橋の若旦那・清之助と幇間(ほうかん)・桃八が、幕末の江戸、東北、北陸を放浪する。今回のこまつ座再演で、あめくみちこさんは、2人の男を行く先々で散々な目に遭わせる女性達を演じる。

「以前こまつ座さんの初演を観た時には驚きました。殺人あり、エロあり、ナンセンスありで、井上先生はこんな陰惨でエネルギッシュな喜劇を書いていらしたんだと。今回私が演じる役はト書きに“上半身が裸になる”とかあって、演出のラサール石井さんに思わず“これ、やるんですか?”と確認してしまいました(笑)」

 あめくさんは品川の女郎、釜石の旅籠の女将、山賊の頭の妻、柏崎の乞食ばあさん、江戸転じて東京の娘の5役だ。

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「東京の娘さん以外は女郎だったり元女郎だったり、社会の最下層ですよね。彼女らの世界では、人間の愛も欲も性もむきだしになる。乞食ばあさんも瘡(かさ)で両脚を失くしていて、きっと元女郎。通りがかりの男を“ええ男、三津五郎ッ”とおだてて銭をせしめる(笑)。やり甲斐があります」

 東北弁訓練が楽しいそうだ。

「昔こまつ座『國語元年』に出た時に米沢弁を喋ったんですがその時以来です。この芝居の見所の一つは、どこへ行っても江戸弁で通す男2人の洒脱な感じと、方言を話す土地の人々の土臭さの対比。噛み合わなさ、しかし懲りずに口説いたりする可笑しさ、哀しさなんかを観ていただきたい」

INFORMATION

『たいこどんどん』
5月5日~ 新宿・紀伊國屋サザンシアター
問合せ TEL 03-3862-5941
http://www.komatsuza.co.jp/program/