文化大革命のころ、紅衛兵が右側通行だった中国の交通ルールを左側通行に変えようとしたことがある。これは「左」が「右」よりも優先されるべきという理屈らしいが、常人には理解しがたい。この突拍子もない提案は、冷静な周恩来首相がおさえ、幸いにも実現しなかった。
こうした笑い話はともかく、旅先では左と右で意味が異なる状況にしばしば遭遇する。なかでも飛行機は、左と右で明確な違いがある乗り物だ。そんなことも含めて、航空旅行をする際、どのような座席を指定すれば快適で安全なのか、もう一度考え直してみることにしたい。
(1) 飛行機の座席は左側のほうが右側よりも格上
飛行機に搭乗するとき、原則的に左側から搭乗することにお気づきだろうか。これは、もともと船の右舷に舵がついているため、接岸しやすい左側から乗客が乗り降りするようになったことに由来しているといわれる。
キャビンアテンダントは、それぞれの持ち場のドアがあり、離着陸時は、それぞれのドア近くのジャンプシートに座る決まりとなっている。そのとき、チーフパーサーなど、キャビンの責任者は原則的に機体の一番前の左側のドア(L1)を受け持つ。
かつて、「キャリアの浅いCA目当て」であえて最後尾の右側のジャンプシート前の席をアサインしている知人がいたが、一般的にいえば、飛行機は前方左側が最も「格が高い」とはいえるだろう。
(2)北半球で西に向かうフライトなら左の窓際はまぶしい
航空旅行の楽しみの一つは上空からの景色だという人も少なくないだろう。窓側の席を予約する際、誰しもが気になるのが翼にかかる席を避けるということだが、それ以外に左右どちらの席をアサインするかも慎重に判断したい。気にすべきは太陽光線がどちらから差し込むかだ。北半球で東から西に向かうフライトなら太陽光線は左側から差し込む。
その場合、左側の席をアサインすると、せっかくの窓側なのにまぶしくて景色はよく見えず、写真を撮ろうとしても逆光なのであまりきれいにはとれないだろう。下手をすると隣席の乗客から、「まぶしいからシェードを閉めろ」オーラを浴びるかもしれない。こうなると何のために窓側をアサインしたのかわからなくなる。一方、順光側であれば直射日光が当たらないのでまぶしくないし、写真も綺麗にとれるだろう。