年齢と共に避けて通ることができないひざの痛み。どのようにすればひざを痛めることなく歩けるのか? ここでは“ひざのスーパードクター”として知られる巽一郎氏の著書『100年足腰』(サンマーク出版)より一部抜粋。手術しないで痛みがなくなる歩き方をご紹介する。(全2回の前編/続きを読む)
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手術しないで「歩き方」を変えて痛みをとる
ひざが激痛を生じるメカニズム「骨と骨が直接当たって割れる微小骨折」──この原因さえ取り除いてあげれば、痛みを遠ざけることができます。
つまりは「骨どうしが当たらないようにする」ことができれば、激痛を取り除くことができます。これは新潟県から来られる3名の患者さんたちから僕が教わったことです。
僕らの診察室には、ありがたいことに全国から患者さんが来てくださいます。地域によって特色があるのか、たまたまなのか、新潟から新幹線で来られる患者さんに、末期症状の方が多い傾向がありました。
骨と骨が当たって、それでも歩いたり仕事をした結果、軟骨だけでなく、脛骨の骨まですり減り、骨欠損を生じている状態です。
そんな新潟からの患者さんで、ほとんど200度を超えるO脚であり、手術を希望された末期の方でも、痛み止めの薬を使うことなく、田んぼへ出たり畑をしたりできるようになった方が3名もおられました。3名とも体重を標準に戻し、歩き方を変えたとたんに症状が軽減しました。
その歩き方は次の第2章で後述しますが、ポイントはひざを内側に入れて歩くこと。
これは、彼女たちのひざのレントゲンを撮るとき、外側からひざを内側へ押して撮る「ストレス撮影」を行っていて見つけ出したことでした。
次のレントゲン図のように、立って歩くときには、内側の軟骨がなくなっていて骨どうしが当たっています。微小骨折が治った後には骨は白く石灰化します。レントゲンで見ると、内側は大腿骨も脛骨も他の部位よりも白くなっていますが、これは折れた骨が治癒するときに、カルシウム沈着が多く起こって真っ白に石灰化し、他の部位よりも硬くなっていることを示しています。
この患者さんのひざを、外側から内側に押さえてレントゲンを撮影したのが下の図です。外側から内側へ、力を加えたことで、内側の関節が開いているのがおわかりでしょうか。まるで軟骨があるかのようです。
しかし実際には、外側から押しているから開いているだけで、この押す力を離すと図上のように、パタンとまた骨どうしが当たってしまいます。