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こうすれば大丈夫! 痛くない歩き方は…

 であれば、歩くときに内側にストレスをかけて歩けたらどうでしょうか?

 そうです、微小骨折は起こらず激痛がなくなるのです。

 この事実から、試行錯誤を繰り返して編み出したのが、「歩く」という普段のからだの使い方によって、「痛みをとる」方法でした。それが「たつみ式・内もも歩き」です。

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「手術よりも歩き方で、痛みがとれる? そんなうまい話があるのか?」といわれれば、答えは「イエス」です。

写真はイメージ ©️moonmoon/イメージマート

 普段の歩き方によって、からだはつくられていきます。ですから、O脚になるのも、O脚が矯正されてまっすぐになるのも、歩き方しだい。教科書にはない臨床の現場が教えてくれた事実でした。

やせていてもひざ痛が多い、日本人ならではの理由

 日本人はたとえ「標準体型」「どちらかというとスリム」でも、ひざに痛みを抱えている人がたくさんおられることを日々感じます。日本人は体重そのもの以上に、姿勢や全身のバランスの悪さによる、変形性ひざ関節症の発症が多いと思えるのです。

 そんな仮説で日本人の生活習慣を見ていると、まずニワトリ歩き、つまり「頭が前に出る」姿勢を招きやすい原因が、じつにたくさんひそんでいることに気づきます。

 パソコン作業、スマホをいじる体勢(これらは世界共通ですが……)。家事をする人なら、皿洗い、調理、掃除機がけ、お裁縫。農業を生業にする人であれば、草とりから田植えまで、手をからだの前に出し、前かがみの作業の連続です。

 一方、欧米人は、日本人に比べて姿勢が前傾しにくい気がします。これは、欧米人のひざの手術に多く立ち会い、執刀もした僕なりの実感で、腰が曲がっている「前傾姿勢のひどい欧米人のお年寄り」をほとんど見たことがないのです。

 姿勢の面では、年齢を重ねても、とても優秀なのかもしれません。頭が骨盤の上にちゃんと載って背筋を伸ばしている。ただし欧米人はほとんどの人が「肥満体型」です。湘南鎌倉病院へは横須賀の米軍基地や座間、厚木からも欧米人の患者様が来られ手術となる場合があります。執刀していて、体型や歩き方だけでなく、靱じん帯たいのバランスも日本人とは大きく違うことを知りました。