介護現場で20年以上働いた経験を持つ、お笑いコンビ「メイプル超合金」の安藤なつさん(43)。小学1年生のときに伯父が運営する介護施設に通い始め、介護業界に携わるようになったという。

 今年1月31日には、自身の経験を綴ったコミックエッセイ『介護現場歴20年。』(主婦と生活社)を上梓した安藤さんに、介護を始めたきっかけや、20年以上も介護現場で働き続けた理由、仕事中に感じた苦労などを聞いた。(全2回の1回目/2回目に続く)

安藤なつさん ©石川啓次/文藝春秋

◆◆◆

ADVERTISEMENT

伯父が家を改装して介護施設を運営

――安藤さんが、伯父さんが運営する介護施設に通うようになったきっかけは何でしたか。

安藤なつさん(以下、安藤) 最初は親戚の家に遊びに行く感覚でした。もともと伯父は「自助具」という介護用具の販売をしていたんです。自助具というのは、例えば1人でも食事が食べられるように、自分の手に合わせて作られたスプーンなどがあります。

 そうしたら私が小学校1年生のときに伯父が急に家を改装して、少人数で短期のショートステイやデイケア、一時預かりの受け入れを始めるようになって。そこを訪問したのが最初です。

――では伯父さんの家に行って、そこに利用者の方がいるのが普通だったという感じですか。

安藤 そうですね。初めてお会いしたのが脳性麻痺を患う方で、ビーズクッションに横になって休んでいて。そこにスタッフさんが来て「一緒におやつ食べない?」という流れになり、一緒に金平糖を食べたのを覚えています。

小学生時代の安藤なつさん(本人提供)

小学校3、4年生くらいから徐々に介護をお手伝いするように

――最初はどんな印象でしたか。

安藤 最初は「怪我をしているのかな」と思っていて、スタッフさんから「動けないんだよ」と教えてもらったんです。でも当時、私が6、7歳とかだったので、理由までは特に説明もなく。

 他にも施設には認知症の方が少人数と、知的障害の方、自閉症の方など、色々な方がいました。

――初めは「遊びに行った」という感覚だったのが、徐々に介護をお手伝いするようになったそうですね。

安藤 小学校3、4年生くらいのときに、伯父の施設で恒例行事となっていた夏の合宿があって、利用者の方が大人のスタッフさんと一緒に山荘へ外泊に行くんですけど、そこで排泄やお風呂の介助など、一緒にお手伝いをしに行ったのが最初だったと思います。

「私もついていっていいの?」という感じだったんですが、伯父に「お手伝いしてね」「一緒に行こう」みたいに言われて。