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――効果はあったんですか。

安藤 ずっと失敗続きだったんですけど、あるとき、スッと着替えてくれて。半年くらい通ったんじゃないかな。おばあちゃんの調子が良かったのか、自分がコツを掴んだのかはわからないんですけど、着替えて一緒に食堂に行けたことがむちゃくちゃ嬉しかったですね。

 やってきたことが間違っていなかったというか、試行錯誤してきたものが報われたというか。ご本人が心地よく着替えてくれたというのがやっぱり達成感があったし、嬉しかったです。

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伯父の介護施設で手伝いをしていた、小学生時代の安藤なつさん(本人提供)

高校卒業後も芸人と介護の仕事を両立

――安藤さんは子どもの頃から、小中高と介護のお手伝いを続けたそうですが、なぜそこまで続けられたのでしょう。

安藤 純粋に楽しかったからですかね。やれることや理解できることが増えていくのが。定時制の高校に行っていたので4年間でいろいろアルバイトもしていたんですけど、一番楽しいのが介護だったので「どうせアルバイトをするんだったら好きなことでお金をもらえるほうがいいな」と思って、伯父の施設でアルバイトをしていました。

――高校を卒業されたあとも、介護のお仕事を続けられたのでしょうか。

安藤 そうですね。16歳で芸人の世界に足を踏み入れたので、芸人と介護の仕事を両立させていました。

 20歳のときにヘルパー2級という資格を取ったんですが、それまでは伯父の施設で働いて、20歳から26歳までは伯父のところではなく、地元で夜間巡回の仕事をしていました。26歳からは都内で一人暮らしをするようになったのと「人手が足りないから働いてくれないか」と伯父から言われたので、また伯父の施設で働くようになったんですが。

 

利用者のおばあさんに「化け物!」と叫ばれて…

――夜間巡回というのは、深夜に在宅介護の方のところを回る夜間対応型訪問介護のことですよね。

安藤 そうです。オムツ交換だったり排泄介助をしたりする仕事です。ご家族の方が24時間つきっきりで介護をするのは大変なので、夜は寝てもらって、あらかじめ預かった鍵を使ってお宅にお邪魔して、私たちが排泄まわりのことや寝返りを打ってもらったりするのをお手伝いするんです。

――夜の介護ならではの大変さもありそうですね。

安藤 一度、夜中にお邪魔したところ、利用者のおばあさんが私を見て「化け物!」と叫んだことがありました(笑)。

「いや、そう言われても仕方ないよな」と思いましたし、夜中に知らない人が部屋にいて、布団をめくられたらそりゃ怖いよなと思います。