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 排泄って最後の砦というか、尊厳に大きく関わるところだと思うんです。ご本人にとってもショックだったり、羞恥心があったりすることで。それができなかった時に、追い討ちのようにそれを問い質すのは、ケアのスキルが低いなと思いますし、自分では絶対にやらないようにしています。

――心を閉ざしてしまいますよね。

安藤 そうですね。だって絶対自分で行きたいじゃないですか、トイレなんて。それでも漏らしてしまった場合にケアをするのが私たちの仕事だし、そこは良くないなと思っていました。

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介護業界の離職率が高い理由

――人手不足や賃金の安さなど、介護業界へのネガティブイメージについて思われることはありますか。

安藤 ずっと人手不足だなと思いますね。給与に関しても、職員さんの気持ちの余裕ができるだけの賃金といいますか、専門職なのでちゃんとした対価が必要だと思っています。でもその対価が払われていないケースが多いから、離職率が高いわけで。

 すごく裕福というわけでなくても、ある程度普通に遊びに行けて、飲みに行けて、ご飯も食べられて、という余裕がないと、ずっとカツカツだと「こんなに大変な思いをしているのに」と病んでしまいますよね。

家族の介護はプロに任せたほうがいい

――日本ではご家族で在宅介護をされている方も多いと思いますが、どう思われますか。

安藤 大変だと思います。例えば自分の両親が認知症になって急に物事を忘れてしまったり、同じことを繰り返し言ったりするようになったとき、他人なら「ああ、認知症なんだな」で済みますけど、家族だとやっぱりショックですし、気持ちの整理がつかないと思うんです。

 認知症に限らずですが、体がうまく動かない方を介護するとき、看る側の息子さんや娘さんも体力や精神的に辛い状態でケアをすることになると、相当負担になると思います。

 

――今までできていたことができなくなる家族の姿を見るのが辛い、という話も聞きますね。

安藤 そうですね。その点、介護職は仕事なので、そうした家族ならではの感情に左右されることもありませんし、そのあたりはプロに任せたほうがいいのかなと思います。