「これはいいな」と思った“介護業界の変化”とは
――昔に比べて、介護業界に何か変化を感じる部分などはありますか?
安藤 先日、久しぶりに伯父の施設に行ったんですよ。そうしたら「機械浴」といって、リフトで利用者さんを持ち上げて浴槽に入れる機械を導入していて、「これはいいな」と。
やっぱりケアする側の負担も考えていかないと、体を壊して離職される方も多いので、機器の導入は重要だと思います。
――確かに、人手不足という事情もありますし、入浴介助だと通常は2、3人掛かりになりますよね。
安藤 そうですね。あとは、ベッドに敷いておくだけで血圧や体温などのバイタルを測れるマットもあります。利用者さんがベッドから起き上がったらブザーが鳴って知らせてくれるものもありますし、安全性の観点からも、そういうものを導入していくのは大事だよな、と思います。
介護を受け止めて「いかに笑って過ごせるか」が大事
――安藤さんは今後、どういう風に介護業界と関わっていきたいですか。
安藤 こうやって取材をしてもらったり、エッセイを出したりして、それを読んでくれた方が介護に少しでも興味を持ってもらえたら、と。ちょっとした広報ができれば嬉しいなと思っています。
本当は介護業界に興味がある人たちと一緒に現場に行きたいんですけど、コロナのこともありますし、今そういうプロジェクトができるかというと難しい部分もあって、まだ未定です。
――最後に、介護に悩んでいる方に何かメッセージをいただけませんか。
安藤 抱え込まずに「頼れるだけ頼っていきませんか」と思っています。やはり「介護」となると人に話しにくかったり、世間的にも目を背けたい部分があると思うんですよ。結婚や出産とか、子育てとかの先にあるライフステージとして、介護は存在するんですが、「死に向かっていく」というイメージがあってか、まだまだネガティブなイメージが強いのが現状としてあって。
そういうライフステージを悲観的に捉えるのではなく、受け止めて「いかに笑って過ごせるか」という意識を持つことも大事かなと思いますね。
撮影=石川啓次/文藝春秋