若者文化の発信地である渋谷のまさに中心地とも言える渋谷スクランブル交差点前で、70年にわたり天津甘栗を製造販売している店がある。店を経営する藤山産業の代表取締役、藤山光男氏と店長の橋本正弘氏に70年で起きた驚きの事件、そしてガングロギャルやハロウィンなど流行についての思いを聞いた。
「ここ数年で中国からの栗の仕入れ価格がほぼ2倍に」
――1袋500円の値札がずっと変わっていないような気がするのですが、気のせいですか?
藤山 値段は変えていないのですが、ここ数年で中国からの栗の仕入れ価格がほぼ2倍になってしまって、泣く泣く量を減らしています。以前は250グラムで500円だったのを150グラムに減らす決断は怖かったですが、ここまで値段が上がってしまうとどうしようもなかったですね。
店長 申し訳ない気持ちで一杯なんですが、不思議なことにお客様からのクレームはまったくないんです。リピーターのお客様に原価高騰による値上げをご説明すると、むしろ「量が少なのなら2袋買います」と言ってくださる方も多いです。おかげさまで売上げは落ちていません。
――根強いファンが支えているんですね。
藤山 小さい頃に親に買ってもらっていた子が、大人になって今度は自分の子供に買っていく、という長いお付き合いのお客様も多いですね。
――お店をのぞかせてもらいましたが、基本的に営業中はスタッフは1人ですか?
店長 1人ですね。デパートの催事などに出店する場合は本社の釜で焼いて持ち込みますが、本店では店で焼いています。釜の周辺は気温が50℃くらいになるので昔は夏場はかなりキツかったのですが、今は冷風機がついてずいぶん楽になりました。