1ページ目から読む
3/3ページ目
――むき栗と焼き栗では顧客層が異なるんですね。今は焼き芋スイーツがちょっとしたブームですし。
藤山 実は焼き芋は売ってみたことがあるんです(笑)。栗と同じ釜で焼き芋も焼けるので。ただ焼き芋は甘栗と同じ冬の商品なので食い合ってしまうし、栗が忙しい時期に芋も焼くのは無理があってやめました。アイスバーができるのは夏だからですね。だから夏に売れそうなものがあったら考えるかもしれませんね。
――70年も営業しているとブームも何周もしているのでしょうね。渋谷と言えば“コギャル”や“ガングロ”の印象がありますし、最近はハロウィンもありましたがどうでしたか?
「コギャルの子が栗を買ってくれた記憶はあんまりないですね(笑)」
店長 若者のいろんなブームがありましたが、コギャルの子が栗を買ってくれた記憶はあんまりないですね(笑)。つけ爪しているから、皮がむきづらいのかな……。最近のハロウィンや、ワールドカップの大騒ぎも、実はお店にいい影響はありません。人出はものすごいけど、全然売れなくて。どちらかというと、夜中に店のシャッターを壊されたことがあって、ハロウィンの次の日はお店へ行ってどうなってるか見るまで不安でした。正直、迷惑でしかなかったですね。
藤山 最近の渋谷は若い人の町という感じも減っていて、うちのお客さんもお年寄りや年配の方とお子さんが中心です。30年前に親御さんに連れられて買いに来た子供たちが、大人になってお子さんを連れて買いに来られてという繰り返しで、うちの商売が成り立っているんですね。
大繁華街・渋谷の中心地にいながら、若者たちに媚びなかったからこそ、これほど長く商いを続けてこられたのかもしれない。