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占い師という肩書を持つ女性首脳陣の正体は…

 ヴァレンタインを貶しめようというフロントの陰謀の中で、もっとも好戦的で奇抜だったのは、丸顔の中年女性、米田容子の起用だ。2009年のシーズン初めに、重光昭夫によってフロントのナンバー3に抜擢され、マスコミ対応とVIPスイート席をまかされた。

 シマウマのようなストライプのポリエステル製シャツや、ド派手なピンクのドレスなど、けばけばしいファッションを好み、藤色の名刺には、〈性格診断、カラー分析〉などをする〈占い師〉と書かれている。日本プロ野球史上まれにみる奇妙な首脳陣だ。

 米田はシーズン初めから、話題の種を蒔いた。レポーターたちに、ジーンズの着用を禁じ、選手たちに話しかけるときは敬語を使え、と命じた。これは一部のオブザーヴァーの失笑を買った。彼らに言わせれば、レポーターの大半が、ほかに着るものがないし、選手たちにしても、使う機会がなかったバカ丁寧な日本語には馴染めない。

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 高校野球の名門、〈PL学園〉の元チアリーダーで、〈ポカリスエット〉で有名な〈大塚製薬〉の社員だった米田は、大塚製薬の社長によって重光昭夫に紹介され、2006年にロッテのフロントの仕事を託された。

 

 彼女と、内気な億万長者の息子との関係は、誰にも想像がつかない。彼によれば、ロマンティックな関係は一切ないらしい。記者会見での説明によれば、米田は彼の占いをした“風変りな人物”だという。

 ほかの誰もが驚いたように、瀬戸山も、米田のロッテ上層部への昇格に驚いた。にもかかわらず、彼女は仕事にまっしぐら。さっそく春季キャンプから野球記者たちに、ヴァレンタイン批判を書くよう、プレッシャーをかけた。あるときは、ヴァレンタインが投手起用を誤った、と書かせる始末。ヴァレンタインの長年の友で、コーチのフランク・ランペンを、ノックもまともにできない、と批判。

 VIPスイート席の責任者の立場を利用し、ヴァレンタインの裕福なファンを切り捨てもした。マリーンズ戦のチケット代として、年間1万5000ドルも払っている、アメリカ企業の重役も、締め出された。米田に言わせれば、VIPルームのカーペットを台無しにしたからだ。