たしかに国連の報告書によると、日本は地震の規模、発生率ともに世界4位の災害大国です。
日本に住んでいる限り、能登の惨事は他人事ではありません。
でもここで、一旦立ち止まってみましょう。
災害のどさくさに便乗し、権力を中央に集中させる作戦では
政府が急に〈法改正〉を言い出した時は、まず、今の法律がどうなっているかをチェックしてみて下さい。
案の定、〈災害対策基本法〉 第108条の3に、国は緊急事態の時、国民に協力を要求できる、とちゃんと書いてあるではないですか。
わざわざ今このタイミングで、「緊急事態に国からの指示に従う」ことを義務化する必要は、ありません。
なのにあえて、それをやる。
「違和感」のアラームが鳴りはじめます。
次に〈地方自治法〉の方を見てみると、第245条の2に、「法律がなければ、国または都道府県は自治体に関与できない」と書いてありますから、国と地方は、そもそも上下ではなく、対等な関係のはずですね。
「能登半島地震」のどさくさに便乗し、閣議決定1つだけで、地方自治体に政府のいうことを聞かせる法改正をするのは、一体何のためでしょう?
これはまさに、岸田総理の悲願である、「憲法改正」の中の「緊急事態条項」の地ならし、地方から外堀を埋めてゆく作戦に他なりません。
権力を中央に集中させ、憲法92条が定める地方自治の柱を根底から揺るがし、日本という国のあり方を変えてしまう危険な法改正です。
国民にとって重要な法律ほど、知らないうちに通されてしまう
ちなみに閣議決定というのは、内閣が「基本的な方針」を会議で決めるだけ、野党から反対意見が出るわけでもなく、とっても手軽で簡単です。
えっ、そんな重要なルール変更なら、なぜ誰も騒がないの?
答えは、国会審議をしていないからです。
そのせいで、中継もされず、話題にもならず、国民のほとんどが気がついていません。
思い出して下さい。
パンデミックやウクライナ紛争など衝撃的なニュースの陰で、いくつもの重要法案が静かに通過していたように、私たち国民にとって重要な法律ほど、知らないうちに通されてしまう、この国のパターンを。