うかつに恐竜に近づいた筆者。すると…
だから、うかつに近づいた。すると、なんとこの恐竜さんたち、動くのだ。そして時に吠えるのだ。恐竜の鳴き声なんて、どうやって再現しているのだろうかと気になったりもするが、それはともかく突然巨大な恐竜がうごめいたら、それはもうびっくりである。
訪れたのがよく晴れた真っ昼間だったからよかったが、もしも雪降る夜だったなら……。それはそれは恐ろしい。せめて、パワハラを受けているエンジニアがいないことを祈るばかりである。
そんな恐竜王国としての福井については、いまさらあれこれ語るまでもなかろうと思う。福井駅駅舎の壁面にも恐竜が描かれているし、駅の中のベンチにも恐竜らしき何者か(恐竜博士、というらしい)が座っていたり、とにかくこの町は恐竜を推している。
恐竜が実際に暮らしていたのは、いまから2億年ほどの昔。その頃にはのちに福井となるこの地域にも、巨大な恐竜が闊歩していたということだ。そんな想像も及ばない時代と結びつけてくれる駅前の恐竜さんたちにやはり敬意を持ってご挨拶をしなければならない。
「恐竜王国」はどうして人口26万人の都市になった?
で、そんな恐竜王国の福井だが、もちろんそれだけではないはずだ。何しろ、人口約26万人という、北陸三県では第三位の人口を誇る都市である。いったいどういう町なのか、少し町中を歩いてみなければならない。
福井駅西口の駅前広場からは、西に延びる大通りがひとつ。そのすぐ脇には、路面電車が走っている通りもまっすぐ西に向かっている。その少し北側には、大通りというほどではないくらいの道もある。この少し小さな道を歩くと、すぐに見えてくるのが立派なお堀だ。福井駅のすぐ近く、そこには近世以来の福井の中心・福井城があった。
福井の都市としての歴史は、近世にはじまる。
戦国時代までは足羽川沿いの山間部、一乗谷に朝倉氏が拠点を構えて一大勢力を築いていた。朝倉氏が織田信長に滅ぼされると、以後は信長の重臣・柴田勝家が入る。柴田勝家は燃え落ちた一乗谷から足羽川沿いの平野部に拠点を移し、北庄城を築く。これがいまの福井の市街地のスタートといっていい。