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 知子さんの遺体は3月11日午前10時から、慶応大学法医学の船尾教授執刀のもとに解剖が行われた。解剖所見としては、「左右側頭部筋肉組織内に四か所、甲状軟骨部組織内に一か所の皮下出血」「頭の軟部組織に多数の溢血点」「肺右心室に三個の溢血点」「溺死の診断であるプランクトン検査では、肺の洗浄液より少量発見されたのみで他にはなく、気管支内にも水はない」。

 以上の所見から、死因は溺死とは認められず、頸部圧迫による窒息死か、頸部に圧力が加わったためのショック死の疑いが濃厚であるとの結論が出された。

©AFLO

 警察の見立てとは全く異なっている。

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 死亡推定時刻は9日午後11時より10日午前4時の間、血液型はOMN型と判明。

 胃の内容物は、食後推定3時間~5時間くらいの経過で、ほとんど未消化の松茸、たけのこ、さやえんどう、グリンピース、白菜の片、日本葱、卵の白身と黄身とおぼしきもの等が混ざって、150㏄あった。

 なお、警視庁科学検査所において、被害者の膣内付着物及び死体発見の際着用していたパンティの検査を行ったところ、膣内付着物から若干の精子頭部が発見され、血液型はO型または非分泌型。パンティの局部付着部位にも精液付着の反応があり、A型またはAB型の反応のあることがそれぞれ判明した。精子頭部及び精液の付着状況から、3月8日以降、男性との交合のあったことがほぼ推定された、というのである。

 精子から判明した血液型の1つはO型。そして精液から判明したもう1つがA型かAB型。そうなると、少なくとも2人の男性と性的接触があったことになる。

 3月8日から遺体発見までの約2日間で、知子さんは少なくとも異なった男と肉体関係があった――このことが週刊誌で大々的に報じられ、この事件が世間から好奇の目を集めることになってしまった。