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7歳になる少年が連れ去られた…実際に起きた“カトリック教会によるユダヤ人誘拐事件”を映画化 「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」を採点!

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source : 週刊文春 2024年5月2日・9日号

genre : エンタメ, 映画, 芸能

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〈あらすじ〉

 1858年、イタリア・ボローニャ。ユダヤ人居住区にあるモルターラ邸に教皇直属の兵士が押し入り、7歳を迎える少年エドガルドをローマに連れ去った。実はエドガルドは、生後間もない頃にベビーシッターから秘密裏に洗礼を授けられていたのだ。そして受洗者は、カトリック教育を受けなければいけないという。

 ユダヤ教徒の両親は、息子を取り戻そうと奔走するが、ローマ教皇ピウス9世(パオロ・ピエロボン)は世間から非難されつつも、返還を頑なに拒絶。一方、エドガルドはカトリック教徒としての生活に順応していく。

〈解説〉

 カトリック教会のユダヤ人少年誘拐事件を映画化。監督・脚本は『シチリアーノ 裏切りの美学』のマルコ・ベロッキオ。134分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★★宗教という権威の暗黒面。19世紀半ばの、ほぼ実話とか。主役のユダヤ少年の愛らしさ。子を奪われた母親の狂おしさ。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆宗教的確執の複雑さに当惑するが、そこに内包された不条理はよく伝わる。ただし、映画の眉間に刻まれた皺が深すぎる。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★☆☆幼い少年がこんな酷い目に遭い洗脳から一生抜け出せぬとは。ウクライナの子どもたちを連れ去ったロシアを連想した。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆組織的な虐待を生むメカニズムとは何なのか。権力の邪悪さを簡明な語りで抉る。この監督の問題意識のコアが見える力作。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆巨匠ベロッキオの怒り。教皇庁、独裁体制、人間の価値に対峙した時に何が起こるのか。その観察力、鋭い描写は流石。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
©IBC MOVIE / KAVAC FILM / AD VITAM PRODUCTION / MATCH FACTORY PRODUCTIONS
配給:ファインフィルムズ
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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(伊、仏、独)
4月26日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか公開
https://mortara-movie.com/

7歳になる少年が連れ去られた…実際に起きた“カトリック教会によるユダヤ人誘拐事件”を映画化 「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」を採点!

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