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4 『ぼくは青くて透明で』窪美澄

『ぼくは青くて透明で』

 こちらは直木賞作家・窪美澄さんによる、ジェンダー、セクシュアリティ、いじめ、家族など、様々なテーマを内包する小説です。

 自分自身がセクシュアルマイノリティ(ゲイ)であることを自覚している高校生「海(かい)」が主人公です。海は「母」の美佐子さんと暮らしていますが、二人の血は繋がっていません。海のセクシュアリティを美佐子さんは自然に受け入れますが、それは血が繋がっていないからではないか、と海は思い悩むことにもなります。

 海は転校した先で、クラスの委員長・忍と出会い……。自らのセクシュアリティを自覚し悩みながらものびやかに生きる海の姿に、私たちの抱く「常識」が軽やかにほどけていく心地よさを感じるはずです。

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 運命的に出会ってしまった二人の高校生を通して、「普通ってなんだ?」と問いかける青春小説です。

5 『きみだからさびしい』大前粟生

『きみだからさびしい』

 もう一冊、『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』が映画化され、現代の若者の繊細な心を描いた作品で知られる大前粟生さんの名作『きみだからさびしい』をご紹介します。

 京都の観光ホテルで働いている24歳の町枝圭吾は、恋愛をすることが怖い。自分の男性性が、相手を傷つけてしまうのではないかと思うから。けれど、ある日突然大好きな人に出会ってしまいます。意を決して告白するとその人はこう言いました。

「わたし、ポリアモリーなんだけど、それでもいい?」

 ポリアモリーとは、複数のパートナーを持つ恋愛スタイルのこと。大好きな人のその価値観を受け入れようと、主人公が真剣に向き合う姿と恋の切なさと喜びの描写が印象的な、新しい恋愛小説です。

「自分の世界だけが絶対ではない」ことに改めて気付かされる傑作長編。各書評でも大評判となった作品です。