海外のRPG「Fallout(フォールアウト)」がPrime Videoで実写ドラマ化され、人気を博している。その勢いは凄まじく、配信から16日間で6500万人、歴代2位の視聴者を獲得しているのだ。

画像はAmazon.co.jpより

 アメリカの映画評論サイト「Rotten Tomatoes」では、評論家から93%、一般視聴者から90%(5月2日閲覧時点)の肯定的な意見を獲得しており、かなりの高評価といえるだろう。また、これに伴ってゲームのシリーズ作品の人気も再燃している。

ドラマ開始後、ゲーム最新シリーズ「Fallout76」のプレイヤーの数が激増した。画像はSteamDBより

 2023年は「THE LAST OF US(ラストオブアス)」が実写化され大きな話題となったが、再びゲーム原作の映像化作品が当たったわけだ。もともと「Fallout」はかなり人気のあるゲームシリーズではあるが、今回のドラマでは単なる実写化を行ったのではなく、ゲームが原作だからこその、ゲームが主体となる大胆すぎる手法が取られていた点も功を奏した。

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ゲームで語られなかった部分がドラマで語られる

「Fallout」は1997年から続くゲームシリーズで、核戦争によって滅んだアメリカ(ウェイストランド)が舞台のRPGとなっている。雰囲気は1950年代のアメリカなのに、科学技術だけがやたら突出しているレトロフューチャーといった具合の世界観だ。いまやオープンワールドRPGのなかで最も有名なタイトルのひとつといえる。

画像は『フォールアウト』本予告動画 | プライムビデオ - YouTubeよりキャプチャー

 さて、ゲームやマンガの実写化の方向性はさまざまだが、違う媒体で展開する以上、重要になってくることの一つに「新しい層を開拓する」ことが挙げられるのは間違いない。

 今までと違う媒体で作品を描き直せば、それまで興味を持っていなかった人たちが手を伸ばす可能性がある。一方で、ストーリーがまったく同じである場合、原作ファンは「知っているからもういいや」となりかねない問題が発生する。かといって、新規ファン置いてきぼりでは違う媒体で展開するメリットが減ってしまう。

 この絶妙なバランス感覚が求められる問題を、実写ドラマ版『Fallout』はどう解決したのかといえば、およそ1/3は新規ファン向けといえる要素を用意し、残りの2/3では原作ファンすら驚かせる思い切った手法、展開を取っている。

 具体的には、実写ドラマ版で「原作では触れられてこなかった、しかし重要な設定をさらっと公開する」のだ。これは原作ゲームでプレイヤーたちが疑問を持ち続けていたものであり、同時に世界設定の根幹に関わる重要すぎる設定、それこそ核爆弾のようなものだった。ゲームの根幹に関わる設定にまで踏み込むことができたのは、ゲームを手掛けたベセスダが監修に名を連ねているからこそだろう。