文春オンライン

「かけそば」380円のうまさにびっくり、でも店はガラガラ…最寄り駅から徒歩20分、草加市にできた「ポツンと一軒そば屋」は生き残れるか?

2024/05/07

genre : ライフ, グルメ,

note

「安心して下さい。やってますよぉ~(営業中) お気軽にお入り下さい。節電中です。」

「営業時間は9:30~14:00(LO13:30)、休業日:不定期(すみません)」とも書いてある。駐車場も2台分確保している。

入口の看板にある謎文

「野菜天ぷら」や「旬の天ぷら」が人気

 メニューは「かけそば」380円で「野菜天ぷら」100円、「旬の天ぷら」200円と立ち食いそば価格である。入店するとまず7人掛けのL字カウンターがあり、店の奥には4人掛けのテーブルが3つほど。かなり広い。券売機の横には、「野菜天ぷら」の具材が列記されている。「春菊」、「まいたけ」、「アスパラ」、「なす」、「ピーマン」、「れんこん」、「長いも」、「玉ねぎ」、「ごぼう」。

ADVERTISEMENT

広い落ち着いた店内
券売機の横には「野菜天ぷら」と「旬の天ぷら」
写真のメニューもある

「旬の天ぷら」は「春ピーマン新玉ねぎのせ」、「新玉ねぎとごぼうのかき揚げ」。なかなか多彩である。さっそく、私は「かけそば」に「旬の天ぷら」の「春ピーマン新玉ねぎのせ」を、友人は「肉そば」と「れんこん」をそれぞれ注文した。するとすぐに天ぷらを揚げ始めた。

 店はゴールデンウィークということで店主(59歳)とその息子さんで切り盛りしていた。通常は店主一人のオペレーションだとか。

 しかし、なぜこんなポツンと一軒家的な立地で店を出したのだろうか。注文したメニューを作ってもらっている間、いろいろ聞いてみたのだが、これがまた凄く面白い。

店主は立ち食いそばが大好きで…

 店主はそば屋をやる前は飲食とは全く関係ない仕事をしていて、いつも車で立ち食いそば屋を目指して徘徊していたそうである。とにかく立ち食いそばが大好きだった。ほぼ毎日立ち食いそばという生活だったという。日暮里の「一由そば」が大のお気に入りとか。それで大好きな立ち食いそば屋をやりたいという思いが日に日に大きくなっていった。

 その間、食べ歩いて研究を重ね、常連となった地元の店で天ぷらの揚げ方、つゆの作り方、仕入れの製麺屋などをいろいろ教えてもらい、今年の3月15日に開業してしまったそうだ。そこまで話を聞いた第一印象は「随分と思い切ったなあ。突っ走った感が半端ない」ということである。

周辺には飲食店がほとんどない

 そして、今の立地を選んだ理由には極めて明快な2つのポイントがあった。まず、居抜きで安く借りることができたこと。そして、周辺には住宅街が広がっていて飲食店が少なかったことから需要があると考えたことである。