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遺産を受け取る女性は一体誰なのか?

 遺言書の検認手続き日を通知された篠田さんだが、指定された日時に裁判所へ出向くことができなかったため、代わりに別の親族に出てもらうよう頼んだという。遺産を受け取る側の申立人・大崎も裁判所に出向くはずだったが、当日現れたのは大崎の弁護士だった。そこで、大崎郁子が叔父の身の回りの世話をしていたヘルパーであったことが明らかになったのだ。

※写真はイメージ ©maruco/イメージマート

 ある日、篠田さんはその弁護士に電話をかけた。数々の疑問について弁護士から話を聞こうと考えたのだが、回答は曖昧なものだった。

「大崎の連絡先も、叔父の遺骨がどこにあるのかも教えてくれませんでした。遺言書を送って欲しいと頼んだのですが、催促のメールをしても、しばらく送られてくることはなかった」

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 苛立った彼女は、ケアマネ、ソーシャルワーカー、福祉事務所などに連絡をし、自ら調査を始めた。そして、生前の叔父を生活面でサポートしていたというNPO法人の名前を突きとめた。遺産を受け取る大崎郁子は、このNPO法人の職員だった。

 同法人の主な業務は「身元保証」。親族にかわって老人ホームや賃貸物件の保証人になったりするサービスだ。ホームページでは、提携する弁護士が利用者のサポートをすると謳われている。このNPO法人は身元保証の他にも、葬儀支援や生活支援、遺品整理なども行っているという。

 調べれば調べるほど、篠田さんのなかで、ある疑惑が深まっていった。

「弁護士もNPO法人も、大崎も寺も、みんなグルなのかもしれない……」

 弁護士と約束した期日が過ぎても、篠田さんのもとには遺言書が郵送されてこなかった。彼女が地元の警察署へ相談に行くと、担当した刑事は「その話が本当なら、詐欺事件の可能性もありますよ」と話した。後日、刑事が弁護士に確認の電話を入れると、「これから準備して送ります」などと回答があったそうだ。

 篠田さんはさらに調べ、叔父が老人ホームを退去し、介護を受けるためにと入居していた賃貸マンションの運営会社もわかった。訪問介護をしていた業者名、訪問ナースステーションや埋葬された寺院の名も同時に判明した。この寺院が運営しているSNSを見ると、NPO法人と繋がっているように思える記載もあったという。決定的証拠はないが、叔父の介護や死後に関わった関係者は全員繋がっているように思えてならなかったと、篠田さんは語る。

「叔父が埋葬されていたのは、中部地方にあるお寺でした。叔父は自分が死んだら(北陸地方の)実家近くにある菩提寺の墓にいれてほしいと言っていたと父から聞いていたので、なぜその叔父が、中部地方のお寺に埋葬されたのか疑問です」(篠田さん)