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入居が1ヶ月以上遅れることも…不動産のプロが教える、新築物件の意外な“落とし穴”とは

2024/05/23
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 不動産市場において、売買・賃貸に限らず“新築”は価値が高い。その分賃料や値段は張るものの、予算の範囲内であれば「新築に住みたい」と考える人も多いだろう。非の打ち所がないようにも思える新築物件だが、じつは新築ならではのリスクが潜んでいるという。不動産のプロに聞いた、新築物件のトラブルや住む際の注意点を紹介する。

メリットばかりに思える新築物件の“落とし穴”とは? ※写真はイメージ ©beauty box/イメージマート

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完成予定より1ヶ月遅れることも珍しくない

「当然ながら、新築は賃貸物件の“強み”であり、最新の設備が整っているのでメリットも多くあります。ただ、実際に住むとなると意外な落とし穴があるのも事実ですね」

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 そう話すのは、東京23区内で不動産仲介会社を営む山田春樹さん(仮名・35歳)。

「落とし穴のひとつ目は工期の遅れ。マンションやアパートなどの集合住宅を建てる際、1階、2階、3階……と下から順に内装を仕上げていくので、戸数が多いほど部屋の引き渡しまでに時間がかかります。何らかの事情で工期が遅れれば、事前に知らされていた完成予定月より1カ月ほど後ろ倒しになる、なんてことも珍しくありません。

 最近も、ロシアのウクライナ侵攻の影響で資材の輸入が遅れ、洗面台の土台はあるのに陶器の洗面器だけが届かず、なかなか完成しない部屋がありました」

 内装が仕上がっても洗面器が足りなければ、部屋の引き渡しはできない。賃貸契約を結んで引っ越しの準備を進めていても、計画通りに新生活がはじめられるとは限らないのだ。