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「また、戸数が多い新築の賃貸マンションに入居する場合は、オーナーが指定した引越し業者しか使えない物件もあります。もし仮に、複数の業者が同じ日に引っ越しを行った場合、各社で連携が取れず引っ越し当日に現場で混乱が起こることもありえますから、そうしたリスクを避けるためにも業者の指定は致し方ないことでしょう。ただ、安い引越し業者を見つけて依頼できないのはデメリットといえます」

 新築物件の受難は、入居前に発生するようだ。

カビの発生リスクが高い部屋

 首都圏の不動産仲介会社で働く皆川香菜さん(仮名・30歳)は「入居してからも注意点がある」と話す。

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「新築の物件は気密性が高く、コンクリート内の水分が抜けきっていないため、湿気がこもりやすい環境です。とくに1階はただでさえ湿度が高いので、カビの発生リスクが高い。新築の部屋に入居した場合は、こまめな換気やエアコンの除湿機能、除湿器を使うなど湿気対策を心がけましょう」

 とくに出張が多いなど、部屋を空けがちな人は換気ができないので注意してほしい、とのこと。2~3年ほど経過すると資材が安定して過ごしやすくなるという。きれいな家に住みたいが、湿気対策は面倒という人は、築3年前後の築浅物件を選ぶのがベストだ。

エアコン不足の部屋が増えている?

 そのほかにも「近年の新築物件の設備に関して思うところがある」と、皆川さん。

「最近の傾向なのか、部屋の広さや部屋数に関係なく、エアコンが1台しかついていない物件が多いんです。3DKの間取りで備え付けのエアコンが1台のみ、なんて部屋もザラ。オーナーは『エアコンがつけられる部屋もあるので、あとは自腹でどうぞ』という方針なのですが、仲介する側としては“この広さにエアコン1台は無理がある”とツッコみたくなります。何より、新築で広い部屋の場合は初期費用もかなりかかりますので、さらに『エアコンを追加で新設してください』と伝えるのはより心苦しいです」

「最近の傾向なのか、エアコンが1台しかついていない部屋が多く、“この広さにエアコン1台は無理がある”とツッコみたくなることも」(首都圏の不動産仲介会社で働く皆川さん)※写真はイメージ ©maruco/イメージマート

 入居者が自分でエアコンを購入した場合は、退去時に原状回復するために撤去しなければならず、手間とお金が余計にかかる。

「それでも、自腹でエアコンを設置する人が多いですね。まだ使用できるエアコンなら『残置物』として残せるケースもあります」

 新築物件共通の落とし穴だけでなく、ごく稀に“ありえないトラブル”も発生する、と皆川さん。