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入居が1ヶ月以上遅れることも…不動産のプロが教える、新築物件の意外な“落とし穴”とは

2024/05/23
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洗濯機が入らない“設計上のミス”が発覚

「非常に珍しいことですが、完成後に初期不良が発覚するケースもあります。ある新築の物件では、脱衣所に洗濯機が入らない“設計上のミス”が、すべての施工が完了したあとに発覚して大騒ぎになりました」

 同物件の脱衣所には、室内洗濯機置き場や蛇口、排水口など洗濯機が置ける環境が整っていた。しかし、搬入口が狭く、“横幅55cm以下の洗濯機”でなければ、スムーズに置けない状況になっていた。たとえば、ドラム式洗濯機の横幅は60cm以上のものが主流なので設置は不可能となってしまう。

「ある新築の物件では、脱衣所に洗濯機が入らない“設計上のミスが、すべての施工が完了したあとに発覚して大騒ぎになりました」(首都圏の不動産仲介会社で働く皆川さん)※写真はイメージです ©beauty_box/イメージマート

「入居者は55cm以下の洗濯機にしてもらう必要があるとのこと。別の部屋に至っては、どの角度から入れても洗面台の洗面器に洗濯機がぶつかってしまうため、再度サイズの小さい洗面台を設置し直すそうです。おそらく、この物件はオーナーと施工業者のどちらが工事費を払うかでかなり揉めていると思います。不動産業界で30年働いている先輩も『そんな事例は聞いたことがない』と驚いていました」

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「新築にトラブルがあるはずがない」と思い込み…

 前出の山田さんは、新築タワーマンション(以下、タワマン)を仲介した際に「想定外のトラブルが発生した」と振り返る。

「そこは、新築の分譲タワマンの一室を購入したオーナーが、賃貸物件として貸し出していた部屋でした。借り主が住み始めて1年半が経った頃『台所の排水溝から変なニオイがするんです』と、相談を受けたんです。築古の部屋や長期間空き室だった部屋は、下水の匂いが室内に漂ってくるケースもありますが、新築の物件ではそうしたトラブルは起きにくいので、少し様子を見ることになりました」