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15歳で仕事がピタッと消え、生米をかじる壮絶な借金生活に転落 内山信二を“暗黒時代”から救った明石家さんまの一言

内山信二さんインタビュー #2

2024/05/18

genre : エンタメ, 芸能

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内山 借金とか、そのへんが原因ですね。16歳から18歳まで、どん底っすよ。

 一応、高校も定時制高校に入ったんですけど、4日しか通いませんでした。いろんな人がいて、「ここにいたら、ダメになるな」「ここにいるんだったら、なんらかの仕事をちゃんとしたほうがいいな」と。

 ただ、どんな道に進んだらいいか決まってないし、わからないことが多すぎて。そうしたらさんまさんから「相撲部屋に行け」って言われて。「四股名は、あっぱれ山や」と命名までしてくれましたよ(笑)。

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ーー相撲部屋、本気で考えたりは。

内山 お父さんが某部屋の後援会に入っていて、小さい頃からその部屋に連れて行かれることが多かったんです。なので、相撲に馴染みがあったことは、あったんですよ。で、さんまさんに言われて別の部屋へ見学に行ったんです。親方をはじめ皆さん良くしてくれて、ちゃんこも食べさせてもらって。「ありがとうございました」って部屋を出たら、裏でそこの若い子と出くわして「実際、どう?」と尋ねたら「キツい。今日逃げ出そうと思ってる」って言われて、相撲行きはやめたんです。

 よく考えて、やっぱり自分には芸能界しかないなと。でも、いまは仕事がないから、バイトしながら芸能界に戻るチャンスをうかがおうと決めたんです。

©松本輝一 /文藝春秋

ガソリンスタンドのバイトで「じゃあ、お前の油入れるわ」

ーーバイトは、いろいろされましたか。

内山 引っ越し屋、ガソリンスタンド、古着の卸とか、いろんなのをやりましたけど、バレて居づらくなるとやめちゃって。一番最初にバイトしたのがガソリンスタンドだったんですけど、すぐにバレましたね。「内山」って本名なんでその名札をつけて「オーライオーライ」ってやってたら「内山じゃね?」となって。

「あ、ども。レギュラーにしますか、ハイオクにしますか」「じゃあ、お前の油入れるわ」みたいに絡んでくる人がいるんですよ。そういうのが嫌で、1週間もしないうちに辞めました。

ーー引っ越し業者では、お世話になっていたプロデューサーが客として当たってしまったそうですね。

内山 これ、嘘みたいな本当の話で。表札を見て、すぐにピンと来て。「この場所でこの名前、某局の◯◯さんの家じゃ……」と思ったら案の定で、「内山君?」って気づかれて。その通りなんで、「はい。内山です。今日はよろしくおねがいします」って挨拶して。粛々と家具を運んで。

©松本輝一 /文藝春秋

 最後に、そのプロデューサーが「これで、なんか食べて」って1万円を渡してくれたんですよ。引っ越し屋の日当が1万円で、弁当や飲み物を買ったりしたら、手元に5000円か6000円しか残んないんですよ。だから恥ずかしいっていうより、その1万円のデカさが素直に身に沁みましたね。

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