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ーーアイデンティティが揺らぎそうですね。

内山 元々、芸能人になりたくてなったわけじゃないんで、これといった目標もなかったんですよね。それでも、なんとなくやっていくうちに「自分に合ってるな」「大変なこともあるけど、楽しいな」って思えてたんです。嫌で嫌で辞めたかったのならアレですけど、急に仕事がなくなるわけですからね。何をしたらいいのか、わかんなくなるんですよ。

 15歳といったら、中学校に行って勉強したり、部活に打ち込んでたりするのが普通じゃないですか。働いてる子なんていないでしょ。だから、学校の友達にも相談なんてしようがない。しかも、僕の場合は働かないといけない状況にもなっちゃっていたので。

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©松本輝一 /文藝春秋

ーー「内山家は大変になっちゃうんですけど」と話していましたが、その大変な時期というのが。

内山 この頃です。正確には、16歳から18歳あたり。僕も仕事がなくなってるのに以前と同じようにお金を使っていたし、お父さんもさっき話したみたいに他人に奢りまくったりするのが止められず借金も作って。

 お父さんもテレビに出てちょっと有名になったので、怪しい話を持ちかけてくる人がいたんですよね。具体的に何をどう騙されたのかは僕も詳しく知らないんですけど、おかげで借金することになっちゃって。

「電気、ガス、水道が止まっちゃってる時は生米をかじってましたから」

ーー内山家がマズい状況にあることを知ったきっかけは。

内山 お父さんから、僕が稼いだお金は貯めてあるって聞かされてたんです。で、16歳になったから原付の免許を取ろうと思って「あ、そうだ。貯金を使って免許取ろう」と、通帳を見せてもらったら300円ちょっとしか残ってなくて。借金の返済に使って、それでも追いつかないから借金を重ねていて。

 そうしたら、電気、ガス、水道が止められたんですよ。そこで一気に、普通の金銭感覚に戻りましたね。

©松本輝一 /文藝春秋

ーー電気、ガス、水道が止められるとは、相当に苦しいですね。

内山 食べるものもヤバかったですよ。新潟に親戚がいて、米を送ってくれてたんですよ。だから、米は食えてましたけど、電気、ガス、水道が止まっちゃってる時は生米をかじってましたから。銀座の寿司屋から急降下ですよ。

ーー16歳で両親が離婚したそうですが。