イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

「子ども食堂」の爆発的増加が報道されたわね。二〇一六年に少なくとも全国に三百十九カ所と報じられてから二年弱で二千二百八十六カ所! 利用者がのべ百万人を超えたという数字からも、いかにニーズが高いかがわかる。

「子ども食堂」は地域の住民やNPO団体、自治体等が運営し、無料から数百円程度で子どもたちに食事を提供する。一二年頃から始まりここ数年で急増。今では貧困やシングル家庭の子・親だけでなく、地域の高齢者も多く利用。地域の「第三の居場所」として定着し始めているわ。

 背景に潜むのは「子どもの貧困」。子どもの貧困率は増加傾向の中、一四年に「子どもの貧困対策法」が施行され、一五年には一三・九%と微減。が、依然七人に一人の割合と高い。ひとり親世帯の貧困率は五〇・八%でOECDでも主要国最悪レベル。一方、貧困状態でなくても親が子どもの食事にお金を回さないケースや孤食など、問題の根は複雑で深い。利用者の幅が広がる反面、本当に支援が必要な層が利用できているのかと不安を漏らす食堂関係者もいる。

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「子ども食堂」の取り組みは、市民発で活動が全国に広がり行政が支援に乗り出した、ボトムアップの貴重な成功例。新しい社会活動のモデルになるとボクは期待している。継続運営を目指し資金を募る民間のクラウドファンディングが始まるなど、活動への参加・支援の仕方もチャレンジングね。

 大学と支援団体が提示した、各都道府県の施策立案の先駆例「グッド・プラクティス」では、長野県の「子どもの声アンケート」の子ども参加の視点などが参考になる。ほかにも財団と企業がプロジェクトチームを結成して資金援助や調査、拠点づくりを進めたりと、民間の動きは活発。行政には資金面含め強力なバックアップをお願いしたい。「子ども食堂」から目が離せないわ。