習い事のサロンのような世界が苦手
――物価高で実質賃金も上がらない中、家計にはありがたいファストファッションですが、人権問題もはらんでいます。
Otomato 「強制労働の実態を知らないのでしょうか」といったコメントをもらうこともあります。誰かに低賃金・重労働を押し付けた結果、安価な商品を成り立たせているブランドもあり、その歪さを勉強しながらも、まだうまく整理はついていません。
一方で、私自身もリタイアして収入もあまりなく、貯金を削って生きる中で楽しみを見つけようと思っていて。だから、どんどん買ってどんどん捨てることはしないように気をつけています。
――たとえば、着物といった別ジャンルにシフトしようと思ったことは?
Otomato 憧れはあります。問題は、着付けですね。一度習おうかと思ったんですが、習い事のサロンのような世界が苦手で。
私は1人でカフェ巡りをするのが好きなんですけど、そこで他のテーブルの会話に耳を澄ませていると、習い事帰りの生徒さんたちがたいてい、誰かの悪口を言っていて。そんな状況を見た上で、ご婦人方の中に入ってお付き合いとなると、気を遣うタイプでもあるので、着物に挑戦できないでおります(笑)。
早期退職を決意したきっかけ
――Otomatoさんは早期退職をされたそうですが、それもYouTuberになるため?
Otomato 早期退職は、一緒に働いていた先輩が急に亡くなってしまったことが大きいです。
当時その方は担当生徒を卒業させる直前でしたが、病気で急死されてしまったのです。仕事も退職直前だったこともあり、さぞ無念だっただろう、と思います。卒業式とご自身の引退の日を楽しみにされていたのを知っていただけに、ショックが大きくて。
そこで改めて、人はいつ死んでしまうかわからないと痛感して、自分の中に早期退職という選択肢が自然と出てきたんです。
――教員ではない、別の道にも興味があった?
Otomato 学校という、校則や時間割といった制約の多い生活を長くしていたものですから、自分の裁量ですべてを決められるフリーランス的な働き方にあこがれがありました。
もし私に文才があったらまた別の挑戦も考えたかもしれませんが、漠然と、文字が苦手な私にとっては映像の世界のほうが敷居が低く感じましたし、YouTubeなら資本金なく、ノーリスクではじめられるだろう、という部分で決めました。