収蔵タマゴ化石、1万8000個超え!
河源市で化石が見つかりはじめたのは1996年からだ。近年は現地の地方政府が、雲南省の禄豊や遼寧省の熱河層群に次ぐ恐竜の化石発見地として町おこしを図ろうと、「恐竜の郷」というキャッチフレーズを自称している。
中国の大手紙『環球時報』によれば、2018年末までに現地の河源恐竜博物館が収蔵した恐竜のタマゴ化石は1万8000個以上に達しており、同館は世界最多数のタマゴ化石の収蔵量を誇るという。
タマゴのなかには、ある程度は種類が特定できたものもあり、オヴィラプトルやトロオドン、ハドロサウルスなどの仲間のものであることがわかっている。形状もさまざまで、球形に近いものから、タイ米のようなかなり細長い形のものまで、恐竜のタマゴの多様性を観察できる。なかにはタマゴの内部で方解石が結晶化した美しい化石もあるという。
ほか、近郊では恐竜の足跡の化石や、オヴィラプトル類などの骨格化石も発掘されている。ただ、骨格の化石が見つかる数は相対的にかなり少ないという。
中生代の河源市一帯は、タマゴばかりが化石化しやすいという不思議な環境だったようだ。
割られたタマゴ化石、5万個超え?
いっぽう、河源市で問題となっているのは化石の破壊や私蔵である。
2010年1月5日付けの広東省の有力紙『羊城晩報』は、河源恐竜博物館の収蔵数を上回る約3万個のタマゴ化石が民間で私蔵されているとの見立てを報じている。これはおそらく、盗掘を経て転売されたものだろう。また、都市開発の工事現場などで人知れず破壊されたタマゴ化石は5万個におよぶという推算もある。
広東省は中国でも有数の経済先進地域とはいえ、河源市は省内ではさほど豊かではない土地だ。せっかく見つかった化石が博物館内で充分な保存環境に置かれず、劣化した例も多々あったという。現在は中国の経済発展によって多少は状況が好転したはずだが、悩ましい問題である。
さておき、広東省は経済だけではなく恐竜事情もなかなかアツいことをおわかりいただけたかと思う。
現地は日系企業や、日本企業と取引をおこなう現地企業が非常に多く、日本人ビジネスマンの中国出張先としてはかなりメジャーな地域である。ご興味のある方は、仕事の合間に恐竜のタマゴに会いに行ってみるのもいいかもしれない。