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あとは、脚本を書く時に、なるべく彼らに撮影中にプレッシャーをかけたくないと思いながら書き進めました。
例えば、大泣きするシーンを書いた場合、泣けなかったら泣けるための演出を考えなくてはならなくなります。
出演していただく子供に、撮影を通して成長してほしい、なんておこがましいことは思っていませんが、せめて、撮影が子供たちの成長を邪魔する期間であってはならない、とは当然考えているため、無闇に精神的なプレッシャーを要するシーンは、書きたくないですね。
1作目の受賞で実感したもの
――22歳の時にデビュー作でサン・セバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞受賞以降、ストックホルム、ダブリン、マカオの各映画祭で受賞し、遂に2作目でカンヌデビューです。
奥山監督 サン・セバスチャンで受賞した時は本当にびっくりしました。そもそも『僕はイエス様が嫌い』が映画祭に出品されることすら無いと思っていたので。
でもその時、映画祭に出品することで作品が海を超えて広がっていくのを強く実感しました。
『僕はイエス様が嫌い』は自主映画だったので権利は全て自分が持っており、故に映画祭への参加、海外配給による公開、そして日本の劇場公開といった局面でどのように人やお金が動くのか、いち監督よりは近くで見ることができました。
そこで垣間見えたものを通して、原作の発行部数や俳優さんの知名度などに縛られない映画作りが、海外のマーケットを視野に入れることで目指せるかもしれないと思いました。