前半戦で明暗くっきり
5話平均を幅広い年齢で確認してみよう。
全ての層で「花咲舞」が上を行った。
それでもF2~4(女性35歳以上)では肉薄した。つまりその年齢層の女性には「9ボーダー」は興味深い物語になっているが、他の層では大きな差となった。
この辺りの状況は、SNSへの書き込みにも表れている。
「美桜ちゃんかわいい」
「可愛い人はメガネかけても可愛い!」
「今田美桜ちゃんの演技がかっこよすぎ‼」
「毎度スッキリして面白い」
まずは今田を評価する声が目立つ。毎回ストーリーの終盤で「お言葉を返すようですが……」という決めセリフで物申して、視聴者に爽快感を与える姿は「女・半沢直樹」のようだという声も多い。
一方で「9ボーダー」に対する声は方向性が異なる
「心に沁みる」
「等身大の三姉妹の苦悩に共感」
「アラサーとして共感しすぎて泣いてしまう」
反応しているのは圧倒的に同世代の女性たち。しかも川口ほかの登場人物を無条件で堪能する声は少なく、二十歳前、アラサー、アラフォーに特有の悩みなどが描かれたストーリーへのコメントが多い。
仕事でまっすぐに理想に向け奔走する今田に快哉をあげる「花咲舞」の視聴者たち。一方で、自分の思うようにいかない現実への苦悩に共感する「9ボーダー」の視聴者層。この対照的な内容が、視聴率“堅調vs右肩下がり”という差になったようだ。
要因には男性の極端な動向もある。
10代から64歳まででは「花咲舞」がほぼ1.7倍。特に男子中高生では約1.8倍、男性65歳以上では1.9倍にまで開いた。ターゲット層の間口の“狭い広い”の差がくっきり出た格好だ。
「ドラマ好き」層でも差が拡大
勢いの差は、20~50代「TVドラマ好き」層でも明確だ。
「9ボーダー」は、男女ともに右肩下がりとなってしまった。女性では初回で1.5倍リードしていたが、5話では逆に2割以上差を付けられてしまった。
男性では初回の3割マイナスが、5話では半分にまで広がってしまった。残念ながら「9ボーダー」は、「TVドラマ好き」層のお眼鏡にはかなわなかったようだ。