今回は、愛知県は知多半島を旅しようと思う。

 230万人もの人口を抱える巨大な都市・名古屋を核とする愛知県は、南側で海に向かってふたつの半島が東と西から突き出ている。知多半島はこのふたつの半島の西側のほうだ(ちなみに東側は渥美半島で、挟まれた海が三河湾だ)。

 だから、知多半島は名古屋からも近い。歴史的に見ても、昔の国の名前でいうならば名古屋と同じ尾張国でもある。

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 では、知多半島にはいったい何があるのだろうか。訪れる前から知っている有名どころは、中部国際空港、セントレアである。知多半島中部の沖合、伊勢湾に浮かぶ人工島に設けられた国際空港だ。

 セントレアと県都の名古屋は、名古屋鉄道の「ミュースカイ」に乗ると神宮前駅からノンストップで20分ちょっと。「ミュースカイ」よりも停車駅の多い特急(ちなみに特別料金は不要だ)でも40分かからない。このことからも、知多半島という地域は名古屋とかなり密接に結びついたエリアだということが想像できるというものだ。

中部国際空港からわずか1駅…名鉄“ナゾの通過駅”「常滑」には何がある?

中部国際空港のすぐとなり…名鉄“ナゾの通過駅”「常滑」には何がある?

 そんなわけで、やってきたのはセントレアのちょっと手前にあるターミナル。名鉄常滑線という路線名にも名が刻まれる、常滑駅である。もともと常滑線は常滑駅が終点だったが、2005年にセントレアが開港するのにあわせて延伸して途中駅になった。関空ならば日根野か泉佐野、成田空港なら成田駅といったところだろうか。

今回の路線図。中部国際空港のすぐおとなり、もともとは終着駅の1つだった「常滑」は名古屋からざっと30分の場所にある

 つまりは、空港開港前の常滑駅は、名鉄のネットワークにおける終着駅のひとつだったということになる。名古屋からざっと30分。途中駅になったいまでも、常滑駅は約5万8000人の人口を抱える常滑市のターミナルであることは変わらない。いったいどんな駅なのか。そしてどんな町なのだろうか。

名鉄の特急で知多半島へ「まるで新幹線でもやってくるんじゃないかというくらいに…」

 名鉄の特急に乗り込んで知多半島に入ると、車窓はいかにも名古屋のベッドタウンといった風景が続く。車窓からはっきり見ることはできないけれど、海沿いには工業地帯も広がっている。このあたりも、いかにも工業都市・名古屋の近郊地域といったところだろう。

 少しずつのどかな車窓も目立つようになってくると、ほどなく電車は高架の常滑駅に滑り込む。まるで新幹線でもやってくるんじゃないかというくらいに立派な高架のターミナル。