彼女たちにしてみれば、直接ボクに言っているわけではないから、中傷しているなんて意識すらないのでしょう。
でも言われているほうにすれば、ほんとうにつらいことです。女性のグループが“鬼の軍団”に見えてしまうほどでした。
また、そんなことを口にする人は、ボクひとりに言っているつもりでしょう。でもボクの耳には、そんなつぶやきがつぎつぎと入ってくるのですから、周囲のみんなから一斉に言われているようなもので、まるで“集団いじめ”を受けているようなものでした。
一番きつかったのは、女友だちと軽くご飯を食べようとレストランに食事に行ったときのことです。近くの席から「あの人、あんなデブの人といっしょにいるけど、あり得なくない!?」と、ふつうに言っている声が聞こえてきました。
「もし、僕が頭のいかれた悪玉モンスターだったら…」
ボクが、デブすぎとか、気持ち悪いとか言われるのならまだいいんです。でも、いっしょに行った女友だちに対して「あり得なくない」と中傷するなんて、それこそあってはならないことです。
その場は一瞬で凍りつきました。ボクは怒りがこみ上げてくると同時に、女友だちに対してものすごく申し訳ない気持ちになってしまいました。そしてお互いに気まずい思いをかかえたまま家路につくことになりました。
ボクを知っている人に言われるのもつらいと思いますが、まったく知らない人から言われるのは、めちゃくちゃつらいことでした。
確かに身長170センチ、体重140キロ超のボクは、モンスターのような体型かもしれません。でも言っていいことと悪いことがあります。それどころか、ボクといっしょにいる人まで中傷するなんて、もはや犯罪です。
帰り道、ボクは妄想していました。
「ボクがやさしい善人モンスターでよかったよ。もし、頭のいかれた悪玉モンスターだったら、全員殺っちゃってたな!」と――。
ボクの場合、妄想するだけで、実際に人を殴るなんてことはありえないことでしたが、いわゆる無差別殺人事件などが起きて、「捕まった犯人が誰でもいいから殺したかったと自供している」などと報じられるたびに、「なんとなくわからないでもない」と思うことがあります。
もちろん、無差別に人を殺したり、暴力をふるうなんて、絶対にあってはならないことですし、許されないことです。でも、そんな気持ちになるまでには、その人を取り巻くまわりの影響が深く関係しているんじゃないかと思うのです。
ボク自身、道を歩いていて、中傷され続けているうちに、頭をかかえて「ワーッ、もうダメだ。どうしよう」とうずくまってしまったことがありました。もう歩けなくなって、大声で「うるさい。お前たちとは関係ないだろう。ほっといてくれ」と叫び出しそうになったこともありました。
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