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最後の10分間は8日間かけて撮影

 この映画のテニス、とりわけクライマックスの試合のシーンは、人間ドラマの大事な部分でもある。ただスポーツとして描くのではなく、キャラクターの感情が伝わってくるものでなければならない。

「撮影前、僕たちはドラマのシーンをたっぷりリハーサルした上で、毎日2時間ほどテニスの練習をした。キャラクターの感情がテニスのプレーにしっかり反映されるようにしたかったからだ。

©2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. ©2024 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. All Rights Reserved.

 とくに最後の試合のシーンは、せりふがまったくないのに、ふたりの感情がどう高まっていくのかを観客にはっきりわからせないといけない。

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 あのシーンを考え、ストーリーボードを描き、撮影をするには、すごく時間がかかったよ。最後の10分間を撮影するのに、なんと8日間が費やされているんだ」(グァダニーノ)

ゼンデイヤが思う“この映画の素敵なところ”

 クライマックスの戦いへふたりを追い詰めたのはタシ。

 だが、タシは典型的なファムファタールとはほど遠く、ゼンデイヤの言うようにこれまでに見たことのないキャラクターだ。そんな彼女を「簡単に悪者と決めつけないで欲しい」と、ゼンデイヤは今からこの映画を観る人たちに訴えかける。

「他人にどう思われようが気にしない女性のキャラクターは、とても新鮮。だからこそ私は彼女を演じたかったの。それに、観ているうちに観客の考えはきっと変わっていくはず。  

©2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. ©2024 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. All Rights Reserved.

 私も脚本を読むたび、シーンを演じるたび、そして完成作を観るたびに、キャラクターへの印象が変わったわ。今もまだ変わり続けている。そこがこの映画の素敵なところよ」(ゼンデイヤ)

 この奥深いキャラクターを、何度でも味わいたい。

 

ルカ・グァダニーノ 1971年イタリア・パレルモ生まれ。99年に初の長編映画『ザ・プロタゴニスツ』を監督し、18年には『君の名前で僕を呼んで』でアカデミー賞脚色賞受賞のほか3部門にノミネートされる。22年の『ボーンズ アンド オール』ではヴェネチア映画祭銀獅子賞を受賞した。

『チャレンジャーズ』
INTRODUCTION
『君の名前で僕を呼んで』(17年)、『ボーンズ アンド オール』(22年)などで、さまざまな愛の形を表現してきた奇才ルカ・グァダニーノ監督の最新作。
 テニス界を舞台に、2人の男を同時に愛する元スター選手と、親友同士ながら彼女の虜になった若きテニスプレーヤーによる10年以上の長きにわたる衝撃の愛を描く。
 主役を務めるのは『スパイダーマン』シリーズなどのゼンデイヤ。彼女に振り回される男子プレーヤーを、ジョシュ・オコナー、マイク・フェイストの若手実力派俳優2人が演じる。

STORY
 人気と実力を兼ね備えるタシ・ダンカン(ゼンデイヤ)はテニス界で大きな注目を集めていたが、試合中の大怪我で突如、選手生命を断たれてしまう。
 選手としての未来を失ったタシが新たな生きがいとして見出したのは、彼女に惹かれ虜となった親友同士でもある2人の男子テニスプレーヤーを愛すること。
 だが、その“愛”は、10年以上の長きに及ぶ彼女にとっての新たな“ゲーム”だった。タシと2人の青年がたどり着く結末とは──。

STAFF & CAST
監督:ルカ・グァダニーノ/出演:ゼンデイヤ、ジョシュ・オコナー、マイク・フェイスト/2024年/アメリカ・イタリア/131分/配給:ワーナー・ブラザース映画/公開中