1ページ目から読む
2/4ページ目

 欲望、セックス、嫉妬がからみ合うこの脚本を気に入ったプロデューサーのエイミー・パスカルは、グァダニーノに監督の仕事をオファーした。

「エイミーと僕は、いつか一緒に仕事をしようと話してきたんだ。この脚本を送ってくれた時、僕は別の作品で忙しかったんだが、1時間ごとに『読んでくれましたか』と電話をしてくるので、ついに読むことにした。

ルカ・グァダニーノ監督 ©2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. ©2024 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. All Rights Reserved.

 そしたらすばらしかったんだよ。(時間が前後する)脚本の構成もドラマチックで、キャラクターは興味深い。それに、遊び心があった。僕は撮影現場でコントロールフリークになりがちなんだが、この映画ではいつもよりのびのびできたよ」(グァダニーノ)

ADVERTISEMENT

ゼンデイヤ「こんな映画は観たことがないと思ったわ」

 パスカルは最初から主演女優にゼンデイヤを狙っていた。

 グァダニーノ同様、ゼンデイヤも、ひとつの作品を撮影しているときは別の作品について考えられない質なのだが、エージェントの家に行って脚本を読むと、たちまち気に入ってしまった。

 これがどんな映画なのか、良い意味でわからないところに好奇心を覚えたのだ。

「すごくファニーなんだけれども、コメディというわけではない。でもシリアスなドラマとも言えない。テニスがあるけれども、スポーツ映画ではない。それら全部の要素が、とてもエキサイティングな形で混じっているの。こんな映画は観たことがないと思ったわ。

 タシのようなキャラクターも、今までになかった。自分に務まるのかと怖かったけれど、それはつまり挑戦すべきだということ。そんなところへ、ルカが監督に興味を示していると聞いて、ますます興奮したの。私は以前から彼のファンだから」(ゼンデイヤ)