考えてみれば当然だが、日本有数のお宝群は、まさにここに集っている。皇室ゆかりの日本美術の粋をそろえた展覧会が、皇居東御苑内・江戸城三の丸の地に開館した皇居三の丸尚蔵館で開催中だ。「皇室のみやび―受け継ぐ美―」第4期「三の丸尚蔵館の名品」展。
皇室伝来の「宝物」がここに集まる
皇室に受け継がれてきた品々じつに6000点以上を、収蔵・管理・公開しているのが同館である。もともと皇居東御苑の一角で1993年から開館していたが、収蔵能力が限界に近づいたことや、さらなる積極的な展示公開を企図して、施設が拡充されることとなった。
現在はリニューアル後の一部開館状態で、全館開館は2026年に予定されている。ちなみに「尚蔵」とは、事物を大切に保管することを指す。
日本では古来、皇室が熱心に美術品を収集し、次代へ伝えてきたのはよく知られるところ。奈良時代、聖武天皇遺愛の品々を正倉院宝物として納めたことにはじまり、歴代天皇がコレクションを形成してきた。
第二次世界大戦後、皇室の所蔵品は整理され、多くの品々が国有となった。1989年にも大規模な国への寄贈がなされ、宮内庁が所管することに。それら貴重な文物を保存・研究・公開していくために、三の丸尚蔵館が設立された。
今展は、収蔵する品々の幅広さと質の高さを示さんと、全体を4期に分けて昨年来展開されてきたもの。第1期(2023年11月~12月)では《蒙古襲来絵詞》など、近年国宝指定された品を中心に展示を構成。第2期(2024年1月~3月)は横山大観《日出処日本》をはじめ、近代日本の優品が並んだ。第3期(3月~5月)は藤原定家が書写した《更級日記》など、近世までに御所などに伝えられてきた品々が館内を飾った。