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「末期癌でホスピスにいる」かつての同僚女性から届いた手紙…彼が800キロ歩いてまで“伝えたいこと”とは 「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」を採点!

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〈あらすじ〉

 イギリス南西部デボン州。ハロルド・フライ(ジム・ブロードベント)は定年退職後、静かな隠居生活を送っている。妻のモーリーン(ペネロープ・ウィルトン)との関係は冷え切っていた。

 ある日ハロルドのもとに、かつてビール工場で一緒に働いていたクイーニー(リンダ・バセット)から手紙が届く。末期癌でホスピスにいる彼女の命はもうすぐ尽きるという。当たり障りのない返信を投函するために家を出たハロルドだったが、どうしても伝えたいことがあると、800キロ北のホスピスを目指し、歩き始める――。

〈解説〉

 世界37カ国で刊行されたレイチェル・ジョイスの同名小説を、原作者の脚本で実写化。後悔を抱えた主人公の贖いの旅。TVシリーズで活躍するヘティ・マクドナルド監督作。108分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆いささかの作為は感じられるけれど、名所でも何でもない町や村の様子が興味をそそる。旅のおとものノラ犬もかわいい!

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆疲れた宵の口に、ジントニックを軽く口に含んだ感じ。臆面もなく感傷的だが、英国の野原と渋い脇役の好演で見せる。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆前進するためには荷物を少なくというハロルドの姿に、己の部屋を連想し愕然。心に沁みる言葉や光景に背中を押された。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆贖罪と自己回復の旅だが、歩く速度の具現化が肝。英国のローカルな風景の移動と共に心模様の変容が巧く視覚化された。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★☆☆ハロルドの巡礼。というより英国版『フォレスト・ガンプ 一期一会』の冒険的趣。過去を悔やむ回想場面は定番過ぎるかも。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
©Pilgrimage Films Limited and The British Film Institute 2022
配給:松竹
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ハロルド・フライのまさかの旅立ち(英)
6月7日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
https://movies.shochiku.co.jp/haroldfry/

「末期癌でホスピスにいる」かつての同僚女性から届いた手紙…彼が800キロ歩いてまで“伝えたいこと”とは 「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」を採点!

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