なかには、「クリニックに通っている間はちゃんと生えてこないから、きちんと生え揃うまでお見合いは止めます」と言う方もいます。
体の大きな人は、軒並みダイエットされますね。100キロ超えの方もいらっしゃいますけど、適正体重まで減量してくださる方もいます。
以前に170センチで102キロの方がおられて、「こちらにいらっしゃる前に、結婚相談所で活動されていましたか?」と聞いたら、「はい、3カ所で活動していました」とおっしゃるわけですよ。
100キロ超えなんて見ればわかるし、それが婚活にマイナスなことはすぐにわかるわけですが、これまでお世話になっていた相談所さんでは、どうして教えてあげなかったのかと感じ、気の毒にも思います。だから「痩せましょう。70キロになれば、お見合いできます」と背中を押しました。
団塊ジュニア世代が抱える問題は「子供」
ーー団塊ジュニアの会員は増えていますか? 49歳から52歳あたりですから、昭和の結婚観、家庭観が染み付いている一方で、それらの崩壊も目にしている。過渡期にいるけど、若くもないから戸惑っているといいますか。ある意味、植草さんにとって強敵の世代では。
植草 たしかに難しいですが、お見合い相手を見つけられるかに関しては、まず外見を直してしまえば半分は何とかなるんです。残りの問題は、子供なんですね。たとえば、53歳の男性で「子供が2人ほしい」となると、女性の年齢に制限が出てきますから。団塊ジュニアは、ここが大変なんです。
ーー50歳を過ぎても子供を望む。
植草 年齢的に制限があるから「20代から30代なかばまでの女性が希望です」などとおっしゃるんですよ。55歳の人が。それって、非現実的じゃないですか。希望する年齢の女性の親御さんより、男性のほうが年上の場合があるわけです。だから、それを理解してもらうのが大変ですね。
婚活アドバイザーは“お母さん以上”の存在
ーー子供の問題を外して、年齢の制限も上げれば、50歳の男性でも可能性はあるものですか。たとえば、希望する女性の年齢を40歳にするとか。
植草 50歳の男性でももちろん可能性はあります。これまで何人も成婚されています。おっしゃるように、50歳の男性が40歳の女性を希望するなら大丈夫です。でも、男性の年収次第ですね。資産がどれくらいあるかも重要になりますし。また50歳の男性が年齢以外に求めるものにもよります。女性の年収にまでこだわったり、きれいな人がいいとか、いろいろな希望が出てくると一気に難しくなってきます。
ーーお話を伺っていて、改めて大変そうだなと。「私、お母さんじゃないんだけど」と思ってしまうことってないですか?
植草 「お母さんじゃないんだけど」なんて思っていたら、この仕事はできないです。だって、お母様が結婚させてあげられない場合にこちらにいらっしゃるのですから、ある意味お母様以上に親身になることも必要です。私は、目の前にいる会員さんをまず大好きになります。お客さんだなんて思っていたら親身になれないですよ。言いたいことも言えなくなってしまいます。
よく会員さんが「お母さんも言ってくれなかった」とおっしゃってくれるんです。「こういったことは、お母さんも教えてくれなかった。ありがとうございます」「母がこれを言ってくれていれば私は20代で結婚できてました」なんて言ってくださいます。
写真=平松市聖/文藝春秋