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 さて5月某日、ちょっぴり緊張しながら白石さんと会場へ。白石さんはこういう受賞のご経験ありますか?

「そうですね、2013年のキングの『11/22/63』で第5回翻訳ミステリー大賞を受賞したのはしみじみ嬉しかったですねえ。翻訳者の投票で選ばれる賞なので、プロの皆さんに支持される作品に携われたことは光栄でした。

『11/22/63』は作品としても『このミステリーがすごい!』と『週刊文春ミステリーベスト10』でその年の1位に選ばれたんです。キングは両方ともベスト10にはたびたび入っていましたけど、1位はこのときが初めてで。思い出深い作品ですよね」

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 そのとき以来の授賞式。会場は円卓着席スタイルで、結婚式場のごとき華やかさだ。森下さんによれば100名以上の出席があったという。

 先述のとおり17部門もの表彰があるので、関係者を全員招待していると大変なことになってしまう。各社人数制限のあるなかで出席させてもらい、ちょっと嬉しい担当である。

錚々たる作家の方々が!

 周囲を見ると、同じテーブルに『きみのお金は誰のため』〈人生に役立つ本(国内編)部門大賞〉の田内学さん、少し向こうには『イクサガミ』〈時代小説部門大賞〉の直木賞作家・今村翔吾さんや、『近畿地方のある場所について』〈新人(小説)部門大賞〉の背筋さんなどなど、書籍、コミック問わず多種多様なベストセラー作家が何人も出席している。なかなかありそうでない文学賞である。