「僕よりも重い病気やケガで苦しむ人たちに元気を配りたい」と語るプロ野球・広島カープの赤松真人選手(35)。2016年末に胃がんだとわかり、今年3月に実戦復帰を果たすまで、赤松選手を奮い立たせ勇気づけてくれたのは、ファンや家族、チームの仲間からの心のこもった応援でした(前後編インタビュー。前編が公開中です)。
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自覚症状はまったくなかった
──がんが見つかる前に自覚症状などはなかったのですか。
赤松 まったくありませんでした。むしろ、胃カメラ検査の前に受けた健康診断では、前年の健康診断より数値がよかったくらいなんですよ。血液検査の結果もよくて、医師の先生にも「別に胃カメラやらんでもいいよ」と言われていたのですが、妻が胃カメラ検査を予約していたので「じゃあ僕も」と受けたらたまたまがんが見つかって。「うそでしょ」と思いました。
──2016年12月に胃がんと診断されて、翌2017年1月に手術。リンパ節への転移がわかり抗がん剤治療を始めましたが、副作用で苦しい時期があったそうですね。
赤松 抗がん剤は、飲み薬と点滴の併用で8セットを繰り返しました。どんな副作用がくるかわからないので、夜眠るのが怖かったです。だるくて寝ていることしかできない日もありましたし、副作用による手足のしびれで、ボールを握るのもしんどい。もう野球はムリなんじゃないかと思うこともありました。
──そんな赤松選手の支えになったのは?
赤松 一番は家族です。特に妻には、本当に支えてもらいました。
チームメイトにもたくさん支えてもらいました。なかでも菊池(涼介)は、よく連絡をくれましたね。球界では、怪我をした選手の背番号を書いて励ましたりすることが結構あるんですが、菊池が帽子のつば裏に僕の背番号「38」という数字を書いて励ましてくれたのは嬉しかった。今、その帽子は僕の自宅に飾ってあります。