〈あらすじ〉

 1989年秋、台北郊外。11歳のリャオジエ(バイ・ルンイン)は、レストランで働く父のタイライ(リウ・グァンティン)と2人暮らしだ。亡き母の願いだった理髪店を開業するために、節約と貯蓄に勤しんでいる。ところが、株価と共に不動産価格も高騰し、店舗付き物件が一気に遠のいてしまう。

〈老獪なキツネ(オールド・フォックス)〉こと家主のシャ(アキオ・チェン)は、不平等な世の中に憤るリャオジエに、成功のためには「他人を思いやるな」と助言する。優しく誠実な父と、真逆のシャとの間でリャオジエの心は揺れ動き……。

〈解説〉

 バブル期の台湾で、新たな価値観に戸惑いながら少年が成長するヒューマン作品。脚本・監督は『台北カフェ・ストーリー』のシャオ・ヤーチュエン。台湾映画初出演の門脇麦が、台湾人役を演じている。112分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆投機的な金の話が背景になっているが、描写は穏やかなもの。音楽の入れ方、カメラワーク、父と息子の情。画面の清潔感。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆時代背景や人々の顔は丁寧に撮られているが、情感の交流と屈折の彫りが浅い。うわべだけ侯孝賢をなぞっている感じ。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆気持ちを腐らせずに貧乏人として生きるか、金勘定と搾取で裏切りも当然と生きるか。地獄から這い上がった結末に安堵。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★☆☆少年の目から見た資本主義の弱肉強食。叙述はやや平板だが、慎ましい哀歓が美しくデザインされている。星4つに近し。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★★1980年代の台湾の様子がまるで匂いや温度まで伝わってくる描写力。映画的曖昧さも含め台湾映画の名作の誕生に拍手。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
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オールド・フォックス 11歳の選択(台湾・日本)
6月14日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
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