「赴任地:ベナン共和国」に「え? どこそれ?」
――ベナンへの赴任を希望されていたのでしょうか。
陽子 遡ると、中学生のとき、アフリカで活躍する日本の看護師の方のドキュメンタリーを見て衝撃を受けて。誰かが現場に行くことで助かる命があるんだと、そこから看護師を目指したんです。なので、アフリカにもずっと行ってみたかったんですが、なかなかハードルが高くて叶えられずにいました。
そうして一念発起して青年海外協力隊に応募したわけですが、希望地自体はケニアだったんです。
――希望地ではなかったベナンに派遣されたと。
陽子 アフリカといえばケニアというイメージだったし、英語圏やしなと、それくらいしか考えていなかったんですけど、蓋を開けたら、「赴任地:ベナン共和国」とあって。そのときはじめてベナンという名前も聞いたものですから、「え? どこそれ?」でした(笑)。
――ベナンがアフリカにある国だということも、その時に知ったんですね。
陽子 そうです。調べてみたらアフリカやったので「もうこれは運命だ、行くしかないやろ!」と興奮しました(笑)。でも、ベナンはもともとフランス領だったので、フランス語圏なんですよね。だから慌ててフランス語の勉強もはじめました。
――はじめてアフリカの地・ベナンに降り立った時、どんな気持ちになりましたか。
陽子 着いたのは夜の10時頃だったので周りは何にも見えなかったんですけど、外に出た瞬間、モワッとした湿気を含んだ暑さを感じて、「ああ、これがアフリカなのか」と、感動しました。まあ、すぐに「暑い~」ってなるんですけど(笑)。
一夫多妻制のベナン「僕の妻と子どもです」と家族を紹介されて
――後に陽子さんが第二夫人となるベナン人のお相手、ボナさんとの出会いは?
陽子 コトヌーで語学研修を1ヶ月した後、任地のドボ=トタに来て3日目で会いました。いろいろ見て回ろうと散策してる途中、彼がやっている小さなアトリエの前で挨拶を交わしたのが最初です。
そこからボナに村を案内してもらって、すぐ、「僕の妻と子どもです」と、家族も紹介されて。ボナには第一夫人との間に2人、子どもがいました。
――そこからどのようにして交際に発展したのでしょうか。
陽子 私自身、赴任したばかりで生活もままならない状況だったので、ガスボンベのつなぎ方やWi-Fiの設定とか、生活に必要なことを何でもかんでもボナに全部聞いて、頼りにしていたんです。そういったときに、いつも彼は同じように優しかったので、いい人だな、と思ったのはありますね。