西アフリカの最貧国とされ、NBA選手・八村塁氏の父の故郷としても知られるベナン共和国。そのベナンで、現地人男性の第二夫人となったのが、看護師のエケ陽子さんだ。 

 青年海外協力隊ではじめて訪れたベナンで現在の夫・ボナさんと出会い、日本で結婚・出産をした後、昨年、家族でベナンに移住。女性支援活動も行う陽子さんに、その暮らしぶりやカルチャーについて聞いた。(全3回の3回目/最初から読む

左から陽子さん、長男、次男、ボナさん

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勝手に携帯を充電されて「エッ」

――ベナンで暮らしはじめて特に驚いたことはなんでしょう。

エケ陽子さん(以下、陽子) やっぱり一番は一夫多妻制ですが、小っちゃいことは毎日、メッチャいろいろありますね。

――最近だと、どんな驚きがありましたか。

陽子 少し前に家の前で魚屋をはじめたんですけど、いつも隣のお店にいろんな人がたむろして世間話をしてて。だから、うちの魚屋の前にも自然と人が集まってるんですけど、その流れでなのか、うちの魚屋の店奥で勝手に携帯を充電されていたときは、「エッ」となりました(笑)。

――知らない人が陽子さんのお店で勝手に携帯を充電していたんですね。陽子さんに発見されてどうなったのでしょう。

陽子 全然、悪びれないです。携帯の持ち主の知らない人が普通にパーッと入ってきて、充電が何%までできたか確認して、「これ、あなたの?」みたいに聞くと、「そうそう」と言って、また置いて出ていきました。

――まだ充電が足りなかったんですね。 

陽子 フル充電したかったんだと思います(笑)。

 

「思い立ったらすぐ行動に移す」ベナン人あるある

――魚屋さんをはじめたということですが、どういった経緯で?

陽子 洗濯機はないんですけど、家に冷蔵庫があるんで、前からパック入りの水は売ってたんですね。で、大きい冷凍庫も購入したので、氷と魚も扱い出して。さまざまな外国から輸入された冷凍魚を仕入れて売っています。

 はじめたきっかけは、完全にボナの思いつきで。ベナン人あるあるなんですけど、ベナン人は、思い立ったらすぐ行動に移すんです。

 ボナは余計にそれが強い人やと思うんですけど、ボナは今、都市部で仕事を始めたりで全然いないので、私が魚屋さんをしている感じです。

 

――ボナさんの現在のお仕事は?

陽子 今は一応、私が立ち上げたベナン女性を支援するNGOの代表をやってもらってます。前はフォトグラファーをしていましたが、5月から仕事を始めました。お給料がようやく入るので、まずは自分たちの生活の安定を図りつつ、NGO活動を進めていこうとしている段階です。

 ただ、NGOも初期費用をクラファンで支援してもらったんですけど、それも尽きてしまったし、貯金もほぼ使ってしまって、今はカツカツの生活ですね。