女性支援を目的に立ち上げたNPO「SaluTota」
――ベナンの女性の仕事はどんなものでしょうか。
陽子 都市部であれば、企業や自治体などでも働いていますが、村の女性の場合、生活の足しにするためにちょこちょこと働くような感じですね。
村の女の人たちはメッチャたくましくて、自分たちで作った農作物や粉の調味料、古着といった売り物を全部頭にのせて、子どももおんぶしつつ売り歩いているんです。
でも、お金を稼ぎたい意欲があっても、資金がなくて挑戦できない人もいるので、なんとかしたいなと思って、NGOを立ち上げたんです。
――23年11月に立ち上げたNGO「SaluTota」は、女性支援を目的にされているんですよね。
陽子 ベナン人と働くことをイメージしたとき、女の人たちと働きたいと思って。女の人に稼いでもらう方が、ダイレクトに家族のため、子どものためにお金を使ってくれると思ったんです。
――一夫多妻制という部分も大きいですよね。
陽子 男の人だと、自分で使うお金もそうだし、妻が何人もいたら分配せなあかんくなる。それだったら、ダイレクトに女の人とその家族に届いた方がいいなと。
ちょっと小さな村に行くと、「1人で孫を何人も抱えて育てています。でも、仕事はありません」という女性や、「これが家です」と言われて見に行ったら、雨の日はザーザーに水が入るようなボロボロの家に子どもたちと住んでたりとかして。
そういう状況を目の当たりにすると、お金をあげるのではなく、その人たち自身が稼ぐ術を身につけることで、安定した暮らしができるような動きが必要なのではないかと思いました。今は、食用うさぎの飼育と、石けん作りを進めたいなと思っています。
日本の常識はベナンでの常識ではないし、その逆も然り
――ベナンでの陽子さんの息抜きはなんですか。
陽子 今の息抜き…何だろう……グチること?(笑)。でも、ここで誰かにグチっても、ベナン人はベナンの考えだから、私にはなかなか共感してもらえないじゃないですか。だから、日本の友だちに連絡して、「やっぱそうやんな」とかって、小さく息抜きをしてますね。
――ベナンに来てから物欲に変化は?
陽子 物欲はほぼないですね。メイクや洋服もほとんど興味がなくなりました。ベナンに来てから喜びの閾値はメッチャ低くなって、シンプルに生きてます。
あ、物欲というか、たまにコトヌーとかの大きい都市に行ったときに、ピザとかハンバーガーみたいなジャンクなものを食べるのが楽しみですね。チーズって結構、重要やなと思って。ここはチーズがないので。
――ベナンで一番驚いたこととして、一夫多妻制を挙げていました。今、その違いをどう受け止めていますか。
陽子 青年海外協力隊としてベナンに来ていたとき、「日本では、男の人がたくさん妻を持つことはできないよ。1人だけなんだよ」と子どもたちに話したら、どよめきがおきた上に「かわいそう」と言い出す子もいて。そのとき、小さいときから何を「普通」として生きてきたかによって「常識」は変わるんだと思い知りました。
日本の常識はベナンでの常識ではないし、その逆も然り。自分の考える常識は、他人にとっての常識とは限らないんだと強く思いますね。
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エケ陽子さんが立ち上げたNGO SaluTota(サリュトタ)
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